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2017-02-15 00:00
「日米摩擦再燃」とうろたえるな!
田村 秀男
ジャーナリスト
トランプ米政権の保護貿易主義をめぐり、一部メディアは自動車や為替摩擦の再燃を煽り立てるが、時代錯誤もいいところだ。トランプ通商政策の最大の「敵」は日本ではなく中国である。対峙するためには日本との協調が欠かせない。トランプ大統領は就任後、ただちに環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを宣言した。さらに、日本の自動車市場の「閉鎖性」や「円安」を糾す構えをみせた。
日本市場の「閉鎖性」の主要点は1995年の日米合意でとっくに処理済みだ。欧州車に比べ日本の消費者には米国車の魅力がないだけのことだ。為替は市場需給にまかせればよいだけだ。日米などが協調してドル安に誘導するプラザ合意の試みは87年10月19日の史上最大規模のニューヨーク株価大暴落「ブラックマンデー」を引き起こし、大失敗した。トランプ大統領は先の安倍首相との電話会談で日本車メーカーの米国での雇用促進を求めた。米自動車市場は投資先として魅力があるから、トヨタ自動車など各社も対米投資に前向きだ。安倍政権は民間の計画をうまく振り付けて、日米互恵を打ち出せばよい。外国への米企業の投資はいわゆる産業空洞化を反映し、米国からの雇用機会の流出として、トランプ政権が是正を図る。
米企業ばかりでなく、トヨタなど外国企業がメキシコに投資すれば、同国からの対米輸出には懲罰関税をかけると息巻くのだが、日本企業の米国雇用は英国に次ぐ。トランプ氏が最重視する製造業の雇用数は日本企業が最大で、「日本叩き」は対日期待の裏返しだろう。米企業の海外雇用は中国がダントツだ。対外貿易赤字の5割近くは対中赤字が占めることも含めると、中国はメキシコとは比べ物にならないほどの重大な問題国になるはずだ。トランプ政権は発足後に限っては、中国との通商問題を声高に取り上げてはいない。新設するホワイトハウス直属の「国家通商会議」が対中戦略を決める準備段階にあるからだ。
通商会議の代表に指名されている経済学者のピーター・ナバロ氏は中国の通商と軍拡を一体としてみなす対中強硬論者である。中国による海洋進出など軍事力を封じ込めるためには、中国との貿易不均衡を大幅に圧縮させる必要があるとし、高関税の適用ばかりでなく、北京当局による人民元安誘導を阻止するべきだと考えている。中国の脅威に直面している日本が本来、取り組むテーマなのだが、親中派の多い霞が関官僚は一貫して無視してきた。日米首脳会談はその点、よい機会であった。安倍首相は対中政策でトランプ大統領と結束をうたい、米側が示唆する日米自由貿易協定を踏み台にすればよい。
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