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2017-02-03 00:00
「日韓合意」破棄の再交渉に応じてはならない
加藤 成一
元弁護士
1月29日付け韓国紙『朝鮮日報』には、「韓国はみんな狂っている、まともではない」と題するコラムが掲載されている。筆者は同新聞社の朴正薫論説委員である。その要旨は「今、韓国は国が理性を失いつつあると感じる。大統領になるという指導者らは、権力欲に目がくらんでいる。政治家は扇動し、大衆は集団狂気を噴出させている。理性が行方をくらまし、憤怒と感情、アブノーマルがのさばる国になった。全てが滅びようとしているかのようだ。大衆が目前の利益に駆られ、支配エリートが迎合するとき、国は衰亡する。韓国は今、そんな状態にある」というものである。特に「慰安婦問題」には触れていないが、韓国政治全般の現状を憂慮している。
「慰安婦問題」の最終的かつ不可逆的解決を宣言した平成27年12月28日の「日韓合意」にもかかわらず、外国公館の安寧と尊厳を守るよう定めたウイーン条約第31条第3項に違反する行為が続いている。釜山の日本総領事館前における市民団体による「慰安婦像」の新たな設置、これを事実上放置する韓国政府の無策、韓国の次期大統領候補者らによる「日韓合意」破棄と10億円返還」の発言、仏像の「窃盗」を事実上容認し、日本寺院への返還を否定する大田地裁の対馬仏像判決など、韓国国民の「反日世論」と、これに迎合するかのような政治指導者らの言動は、枚挙に暇がない。
安倍政権の内閣官房参与である浜田宏一米エール大学名誉教授は、2月1日、韓国通信社『聯合ニュース』とのインタビューで、「日本を含む東アジア諸国は、協力関係を築く必要があるが、歴史問題が不必要に経済協力関係を阻害することになっては困る。過去を反省することは必要でも、同じカードで相手国を何回も謝らせようとするのにも限界がある」と言っておられる。まさに正論であろう。しかし、日本は、このような韓国とも付き合っていかざるを得ない。重要なことは、日本はあくまでも是々非々の立場で、韓国側の理不尽に対しても安易な妥協をせずに、毅然とした態度を貫くことである。その点からは、釜山での慰安婦像設置問題につき、日本政府が長嶺安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事を一時帰国させ、日韓通貨スワップ協定の再開協議を中断する措置をとったことは、評価できる。
「日韓合意」に基づき日本政府は、韓国の和解・癒し財団に10億円を拠出し、すでに、元慰安婦の7割の方々が現金の支給を受けたと伝えられている。将来、仮に、韓国新政権が「日韓合意」を破棄し、再交渉を求めてきても、日本は「解決済み」として、再交渉には一切応じるべきではない。このような日本の毅然とした態度こそが、日本にとっても、韓国にとっても必要なのであり、両国のためでもあるからである。なぜなら、「日韓合意」は、両国政府が未来志向の見地から世界に向けて宣言した合意であり、国際信義上も、国際法上も両国に順守義務があるからである。
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