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2007-01-26 00:00
東アジア地域協力に腰の引けた中国の姿勢
石垣泰司
東海大学法科大学院教授
1月フィリピンのセブで開催されたASEAN+3首脳会議および東アジア・サミット(EAS)の両サミットの結果については、発表された議長声明の文面をみる限りはまずまずの成果と言って良いのではないかと思われる。日本政府としても対ASEAN、対東アジア外交の従来よりの延長線上で様々なイニシャチブを発揮しようとして懸命の努力しようとしていることが分かる。東アジア共同体評議会(CEAC)に関連した小生の以前の仕事の観点からは、ASEAN+3首脳会議の議長声明の中で、東アジア・シンクタンク・ネットワーク(NEAT)が準備した政策提言についての言及が、日中韓サミットに関する項目の直ぐ後に、1つの独立したパラグラフ(第15項)としてなされたのは特筆すべきことで、NEATに対する正当な評価が確立しつつあることを示すものであり、喜ばしく思う。
他方、中国からは、ASEAN+3 首脳会議および第2回東アジア・サミット双方に、前回同様、温家宝首相が出席し、いつもながらの微笑外交を振りまいていた。温家宝首相は、ASEAN+3 首脳会議の常連であり、中国のトップリーダーの1人であることは間違いないので、格別問題なさそうであるが、良く考えてみると、中国政府の指導者としてはあくまでNo.2であることも事実である。No.1の胡錦濤主席はその時期に何をしていたのかと調べてみたところ、中国関係メディアによる報道による限りとくに重大な行事にかかわって国を離れ得なかったということではなかったようだ。しかるに胡錦濤主席は、ブッシュ大統領が出席するAPEC首脳会議には毎回出席し、欧米首脳が参加した昨年のサンクトペテルブルG8サミット関連会合にも自ら出席している。APEC首脳会議には江沢民主席も毎回出席していた。
要するに、中国政府としては、一貫した政策として、APEC首脳会議は、米国大統領も出席する最重要国際フォーラムの一つであるので、国家主席自ら万障を繰り合わせ出席すべし、他方、ASEAN+3首脳会議や東アジア・サミットは、小泉総理や安倍総理、韓国大統領等東アジアや豪州、ニュージーランドの首相といった他のトップ・リーダーは出席するが、中国としては、No.2の温家宝首相に任せておいて十分であると考えていることが良く分かる。最近の発表では、胡錦濤主席は、昨年に引き続き本年もアフリカ地域を訪問し、1月30日から2月10日まで8ヶ国を訪れるということで、当面東アジア協力より対アフリカ地域工作に関心があるようだ。
我が国では、ASEAN+3や東アジア共同体絡みで、中国と日本が主導権争いを展開しているとしきりに報じられたり、ASEAN地域関係者の中にもそのような見方をする者が少なくないが、上記両サミットへの政府代表出席者のレベルひとつだけ見ても、中国は、対ASEAN、対東アジア共同体関連外交にはまだまだ本腰を入れて取り組んでいないと言えるのではないだろうか。逆に言えば、中国は、ASEAN+3、東アジア・サミットとも、いわば中国を取り巻く周辺地域外交の一環として中程度の重要性しか与えていないのが実情であり、将来自らも共同体の主要な一員として真剣に考えるような東アジア地域における共同体づくりに本格的取り組みをみせるのは、東アジア地域内の他国で開催されるサミットに中国国家主席が自ら顔を出すようになってからのことではないだろうか。
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