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2016-12-15 00:00
物議を醸すトランプ政権の閣僚人事
川上 高司
拓殖大学教授
トランプ次期大統領は、国防長官に元海兵隊将軍のジェームス・マティスを指名した。マティスは2003年のイラク侵攻の際海兵隊部隊を率いて功績を挙げのちに、中央軍司令官にまで上り詰めた、海兵隊きってのエリートである。そのマティスが国防総省の頂点に立つというのだから、海兵隊にとってはかつてピーター・ペイスが統合参謀本部議長に就任したときの衝撃を超える快挙だろう。ただ、国防長官に就任するには退役してから7年間を経なければならない。その点が問題となっており簡単にはいかないだろう。
トンランプの閣僚人事は国防長官だけでなく、多くの指名でワシントンでは物議を醸し出している。その一つが国家安全保障担当補佐官という、外交と安全保障政策に最も大きな影響力を持つ地位にマイケル・フリンを指名したことである。DIA長官を務めDNIの補佐官も務めた情報分野に詳しいフリンもまた退役軍人である。トランプは軍人を多用することで好戦的だとの懸念もあるが、フリンの起用についてはもっと危機感を持つ人々がいる。彼らはトランプ次期大統領に対して「フリンの起用は国家の安全保障のみならず、世界にとっても危険極まりない」との書簡を送ったのである。彼らとはアメリカのリベラル系組織、キリスト教団体、反戦団体、ユダヤ系団体などである。
彼らの懸念はマイケル・フリンがイスラム教を敵視した発言をするなど強硬派の姿勢を打ち出していることにある。だがそれよりも彼らがもっとも注目している点は、実はフリンはマイケル・リーディンという人物と大変親しいということだ。リーディンは生粋のネオコンである。かつてブッシュ政権時代に国防次官を務めたばりばりのネオコンのダグラス・ファイスのアドバイザーを務めていた。さらに同じくネオコンのカール・ローブのアドバイザーでもあった。2003年、ブッシュ政権がイラク侵攻へと邁進する中、フセインとアルカイダがつながりがあるという主張を強硬に行い、イラク侵攻を実現しようと画策していたのがリーディンだった。
ブッシュ政権時代はこのように強硬なネオコンが政権に入り込んで、イラク戦争へと突っ走り、その結果アメリカは疲弊していった。ワシントン政治に素人のトランプ政権にネオコンが再び入り込み、アメリカの外交政策を自在に操る可能性もある。今回の書簡に名を連ねた人々は、過去の再現を恐れて、異例とも言える行動を採ったのである。トランプ閣僚人事では肝心の国務長官の指名がまだである。だれが国務長官になるのかで、トランプ政権の方向性が明らかになる。元ニューヨーク市長のジュリアーニ、それに元CIA長官のペトレイヤスに加え、前回の大統領選挙でオバマと争った中道寄りのロムニー上院外交委員会委員長が今のところ有力な候補とされている。物議を醸し出すサプライズ人事がまた飛び出すかもしれない。
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