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2016-12-03 00:00
(連載2)行き詰まった米国型株主資本主義
田村 秀男
ジャーナリスト
住宅の値下がりとともに、この借金バブルが崩壊したのが2008年9月のリーマンショックである。以降、米国への資本流入は不安定になり、縮小する傾向が続く。並行する形で、株主資本利益率が変調をきたした。上昇しかけても息切れし、低落する傾向にある。海外資金吸収は細り、そのGDP比は4%を切った。そして実体経済のほうは賃金の低迷、貧困層の拡大、中間層の消滅危機という具合だ。米国流株主資本主義の衰退と言うべきか。
米国のエスタブリッシュメント(支配層)の観点からしても、金融主導のグローバリズムを墨守することには躊躇せざるをえなかっただろう。トランプ氏はヒラリー・クリントン氏がウォール街とつるんでいると非難したが、実はそれほどの緊密さはなかったはずだ。来るトランプ政権は反グローバリズムを試みるしかないが、グローバリズムの代案が否定形で済まされるはずはない。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)以外の選択肢は一方的な報復に走る2国間交渉主義しかないが、世界の自由貿易秩序を破壊し、米国にとってはもろ刃の剣だ。安直なのはドル安路線だが、外国資本依存の米金融市場をますます弱体化させるだろう。最大の対米債権国として、日本はトランプ氏に毅然としてモノ申すべきだ。
もっと気になるのは、米国型株主資本主義モデルをお手本とする日本の経済界の追随路線だ。日本産業界の株主資本利益率はたしかに米国をしのぐのだが、実体経済への恩恵にならないどころか、むしろ成長の妨げになっている。賃金の上昇を抑えて、株主資本の一部である利益剰余金を膨らませても、国内はデフレ圧力が高まる。デフレの下では円高になりがちなので、たとえTPPを推進しても国内産業が自由化利益を得るとはかぎらない。米国型モデルの不発ぶりは本家ばかりでないことをこの際認識し、日本型を追求すべきではないか。(おわり)
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