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2007-01-24 00:00
浮上してきた北東アジア地域協力の可能性
舛島 貞
大学助教授
フィリピンで開催された第2回東アジア首脳会議では、「東アジア共同体」それ自体は話題にならなかったものの、ASEAN、ASEAN+1、ASEAN+3、ASEAN+3+豪・NZ・インドなどといった、ASEAN を機軸とした会議が多数開催され、多種多様な地域協力が話し合われた。その中で、日中韓首脳会議の開催後、プレス声明が発表され、北東アジアの地域協力が新たな時代に入ったことを私たちに印象付けた。ここ数年、「東アジア共同体」構想は、日中韓3国の関係が悪化していることを前提に語られてきた。それだけに、ASEAN+1を3つあわせたASEAN+3という場が重要になっていた。いわばASEANにぶらさがる形で日中韓の関係はボトムラインを維持されてきた。しかし、安倍内閣が成立直後に中国、韓国を訪問したことで、北東アジア3国の地域協力は、ASEANにぶら下がる形ではなくなる可能性が生まれてきた。
これまで3国は、経済・貿易、ICT産業、環境保護、人材育成及び文化の5つの優先分野において協力をおこなってきたが、今回は「3国間関係発展のモメンタムに立脚」すべきとして、金融、科学・技術、物流、公衆衛生、観光及び青少年交流という6つの新たな優先分野を確認している。これらのうち、公衆衛生などはASEAN+3における地域協力とも深く関わっている。環境問題についても、黄砂、漂着ゴミ、有毒・有害廃棄物の問題に取り組むべきとした3カ国環境大臣会合がもたれることになった。これらは北東アジアにおける地域協力に新たな途を開くものになるであろうが、これは「東アジア共同体」構想にどのような影響をもたらすであろうか。容易に想像できるのは、ASEAN+1の集合体であるASEAN+3が、北東アジア3国地域協力+ASEANという形態になる可能性である。今回、日中韓首脳会議は、「ASEAN+3を主要な手段として東アジア共同体を長期的目標として実現していくとの見解を共有した」という。
中国などは、この北東アジア3国においてFTAを実現させることを目指しているが、いずれにしても新たな地域協力が開かれることで、東アジア共同体の基礎となるASEAN+3のイメージは、(ASEAN+1)×3<「北東アジア+東南アジア」となっていく可能性がある。このとき、日本などが進めた豪・NZ・インドの参加はどうなるであろう。(ASEAN+1)×3+豪・NZ・インドは馴染んでも、「北東アジア+東南アジア」+豪・NZ・インドとなると奇異な感じがあるかもしれない。この点、今後も「東アジア共同体」構想を進めていくなら、新たな構想力が求められよう。ここ数年の間で北東アジア3国の関係が政治外交的に冷え込んだことにより、北東アジアの地域協力のことをあまり考えられなかったし、考えなくて良かった。そのため、逆に私たちの思考は止められていたところがある。その思考を解放して、新たな可能性を模索する必要が出てきたのであろう。
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