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2016-11-02 00:00
ストップ!児童労働
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
先日、私の知人が子どもの権利を守るNPO(ACE)の代表を務めている関係で、「ストップ!児童労働」の署名の柴山総理補佐官への提出に立ち合いました。「児童労働」。あまりなじみがない方もいるかと思いますが、実はわが国としても、関係がない問題ではありません。我が国の中でも完全にゼロとは言えない問題であることに加え、世界の各地で依然として行われている児童労働により作られた製品を知らずに購入している日本企業もあるといった問題が実際にあり、他人事ではないトピックです。
わが国が途上国に供与しているODAや、環境や社会的な課題に積極的に取り組む企業への投資を機関投資家に促すESG投資の枠組みなど、政府が世界的な児童労働の撲滅に積極的に貢献する方法はまだまだたくさんあります。さらに、今国会で議論されているTPP協定においても、児童労働の実効的な禁止を各国が国内法において担保すること、さらには児童の強制労働により作られた製品の貿易を禁止する規定が取り入れられているなど、世界的にも関心がもたれている問題でもあります。日本政府としても、TPPのような国際的な枠組み、ODAのような資金供与を梃子にした関与、企業行動に間接的に影響することで実効的な取り組みを進める、このいずれのルートによっても、取り組みを進めていく必要があります。
特に、企業行動に働きかけるいわば「間接的な規制」は社会貢献などの政府の直接関与になじまない分野の促進には、今後ますます大きな意味を持ってくると思われます。従来のような、税制や予算、法律による直接規制ではなく、例えば女性活躍や気候変動対策、今回の児童労働問題などのイシューにおいては、民間のプレーヤーである企業の意識の変化を促すことが極めて重要です。そしてそのためには投資家のスチュワードシップを活用し企業への働きかけを行うことが非常に効果的です。いわば「21世紀型の政府の新たなアプローチ」といってもいいものです。
環境、社会、ガバナンスに配慮したESG投資のプラットフォームを国連主導で確立した責任投資原則(PRI)にGPIFが署名するなど、こうした問題に配慮する企業はリスクが少ないということで投資を呼び込む傾向もありますし、このような問題への取り組みを主体とした投資インデックスづくりを政府が主導することも今後さらに必要になってきます。いずれにしても、企業の社会的取り組みの促進は今後注目すべきトピックの一つです。
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