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2016-10-21 00:00
(連載2)あってはならない二島返還での日ロ平和条約締結
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
現実路線として段階的に進めていくにしても、1956年の二島というラインから日本側の主張に近づいたものでなければ、一切容認するべきではありません。領土問題が、60年経ちソ連がロシアになっても実質的に一ミリも前進していない状況で平和条約を締結してしまえば、それは日本がソ連の「力による現状変更」を是認したことになりかねません。私も多くの方々と様々な機会にお話をしますが、その経験からすれば、二島返還で平和条約を締結することを是認する声は国民の間にはほぼ無いと言っていいと思います。加えて、日ロ交渉の行方は、国際政治全体の流れ、中国問題にも大きな影響をもたらしかねません。
二島返還、経済支援、そして平和条約締結。そのようなことを、クリミア問題で欧米から中国以上に非難され制裁を受けて孤立しているロシア相手に、万一にでも進めてしまえば、「日本は力による現状変更を認めた」「法の支配といっているのはご都合主義だ」などという認識が、一気に欧米諸国に広がることになってしまいます。実際そのような声を海外の専門家、政治家からしばしば耳にします。
ロシアとの安易な交渉妥結は、結果として、日本が東シナ海、南シナ海での中国の動きを「法の支配」の観点から批判し、国際世論がそれに理解を示しはじめた、これまでの蓄積を一気に崩すことにもなりかねません。「領土不拡大」を掲げた大西洋憲章やカイロ宣言の理念に反することにもなりかねません。そして日本の主張の正当性、国際政治における立場が一気に崩れることともなりかねません。日本は中国の傍若無人な行動を抑え込むにあたっての国際世論の支持を失うことにもなりかねません。日露交渉の結果次第では、そのような事態が現実に起こりうるという認識を持つことが必要です。
そもそも、ロシアが中国・北朝鮮との関係で日米の側に立つことは地政学的にも歴史的にもあり得ず、ロシアと握ることのリスクのほうがはるかに大きい。もちろん外交交渉は両国の国内情勢などのタイミングを見計らって、国益を最大化できるところで一気に進めるべきものです。しかし、日露交渉は、今後の世界の中での日本の立場、国際政治におけるプレゼンスを大きく左右する死活的な交渉です。政府にはそのような認識で交渉をしっかりと進めていただきたいと思います。(おわり)
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