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2007-01-19 00:00
連載投稿(1)時間をかけ歴史認識の共有へ
滝田 賢治
中央大学教授
日韓間ばかりか日中間でも歴史問題についての共同作業への動きが具体化しつつある。専門家を中心としたこの作業に警戒感を示す論者が多数存在することも認識しているが、東アジア地域において協力・協調の枠組みを形成していこう――否、いかざるを得ない――という未来志向の政策を、紆余曲折を経ながらも実現していく場合、少なくとも近現代の歴史認識について一定程度、共有していく努力は不可欠であろう。
確かにこの作業は、一部の論者が指摘するように極めて困難なことである。この作業はアジア、あるいは東アジアに限定できるものではなく、近現代世界史の解釈、認識と密接不離だからである。しかし、現代グローバリゼーションによって「時空構造」が縮小しつつ現在、東南アジアと北東アジア――別の角度から言えば、ユーラシア大陸東部地域+西太平洋地域――からなる東アジア地域で時間をかけて歴史問題を冷静かつ客観的に議論していかなければ、この地域に協力・協調の枠組みは安定的に形成されていかないであろう。歴史認識の共有という膨大なエネルギーと時間を要する課題に向け、意味ある一歩を踏み出すためには、次のような作業手順・認識がなされるべきである。
第1に、確かにアジアあるいは東アジアの歴史を評価することは、近現代の世界史の評価と不可分であるが、当面、関係国の間で問題になっているこの地域の具体的歴史問題を俎上に載せる。
第2に、政治史・外交史・軍事史・経済史などの分野の専門家からなる(準)公的なフォーラムを共同作業の「場」として持続的に展開して行くこと自体が重要である。当面、外部の騒音を遮断して専門家同士の冷静な討論の場を、関係国政府が保証することが不可欠である。確かに、共産党独裁の中国の研究者が、党中央の歴史解釈を離れ自分自身の見解を述べることは不可能であるという懸念もあるが、第2点で述べる方法に限定していけば、それほど問題にはならないであろう。それよりも何よりも、関係国の第一線で活躍している専門家同士の「場」を維持することによって、相互信頼醸成が進むことが大きなメリットである。(つづく)
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