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2016-09-28 00:00
(連載1)「ガラパゴス恐怖症」で問題の本質を見誤るな
鈴木 一人
北海道大学公共政策大学院教授
先日、ある宇宙システム関連の会議に出席した。具体的な内容は詳細に示すことが出来ないが、その中で宇宙システムの開発を進める際に「ガラパゴスにはなってはいけない」ということが繰り返し議論されたことに違和感を持った。
「ガラパゴス」とは言うまでもなく、野村総研のプロジェクトチームが使い始め、瞬く間にバズワードとなった、日本の技術開発の特徴を示す言葉である。日本国内の市場における競争がオーバースペックの機能を搭載するゲームになってしまい、その結果、世界市場では見向きもされないということを端的に示す言葉として人口に膾炙するようになった。この分析自体には異論はなく、携帯電話や家電など、日本のものづくりの「ガラパゴス化」は様々な分野で観察されるし、その理解が当てはまるところも多い。
しかし、今回の会議で気になったのは、あまりにも「ガラパゴス」に対して意識しすぎて、研究開発の場が委縮しているのではないか、という懸念であった。オーバースペックではなく、グローバル市場で売れるものを作れ、という至上命題に対し、過剰反応しすぎているのではないか、という懸念である。というのも、オーバースペックでグローバル市場に売れなくなった家電や携帯電話は、末端のデバイスであり、ユーザーが直接お金を出して買うものである。そこには様々な合理性が働き、一種の人気投票になる。ユーザーの満足度を考えて製品を作るべきだ、という議論に異論をはさむつもりはない。
しかし、宇宙システムは末端のユーザーが直接使うものでも、選ぶものでもない。宇宙システムはインフラであり、ユーザーから見えるものではない。我々が携帯電話を選ぶときに、iPhoneにするのかAndroidにするのか、キャリアをどこのものにするのか、という選択はあっても、どんな周波数を使っているのか、どんなアンテナを使っているのか、どんな光ファイバーケーブルを使っているのかを考えて選んでいるわけではない。(つづく)
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