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2016-09-25 00:00
(連載2)新たな発想で国際安全保障の枠組みを
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
北朝鮮問題も国連が扱いにくい案件だ。北朝鮮のバックには中国とロシアがいる。金正恩総書記が中国やロシアの忠告を幾度も無視するので、さすがに中国やロシアもずっと拒否権を使用することができないが、これまでのところ国連が厳しい制裁を下すのは避けられている。北朝鮮は中国でG20が開催されている最中の9月5日に弾道ミサイルを発射した。国連安保理は6日、北朝鮮による弾道ミサイル発射を強く非難する報道機関向け声明を発表した。安保理が北朝鮮をミサイル発射で強く非難したことは一定の評価はできる。中国もG20開催時の北朝鮮ミサイル発射は面子を潰すもので怒りがあっただろう。しかしこれまでにも北朝鮮への非難声明は出されており効果は疑わしい。制裁決議がされても状況は改善されていない。これまで中国やロシアは北朝鮮への制裁決議には積極的とは言えなかった。踏み込んだ制裁となれば中国、ロシアは拒否権使用が可能だ。いざとなれば北朝鮮は中国かロシアに泣きを入れれば、国連は何もできなくなる。
大きな関心を集めている南シナ海や東シナ海の問題などは中国が主人公と言って過言ではない。国連は全く身動きができない。南沙諸島などは緊張が高まっている。しかし熱い紛争となっても国連はおそらく何もできないのだ。アジアではインドも経済成長を行い、もう一つの大国となりつつある。インドも大国意識の高い国であるし、中国とインドはこれまでも国境紛争を行ってきた関係だ。両国とも核兵器を持っている。いつぶち当たるか分からない。しかしここでも今の国連では何もできないのだ。せいぜい仲裁の努力をするくらいだ。
国連は深刻な危機には無力に作られている。ならば国連安保理改革を、という話になるのだが、この改革にも現常任理事国の拒否権問題がでる。多数決だけでは決められないのだ。安倍首相はTICADに出席して、アフリカの国とともに国連改革を呼びかけた。しかし、日本が安保理常任理事国に入るには中国が了承しなければならない。まず不可能だ。現在の常任理事国が拒否権を手放すとは思えないし、新たに加わる国に拒否権を認めるとも思えない。つまり、意味のある国連改革はどうやってもデッドロックに陥るように仕組まれているのだ。
ではどうすればいいか。現代社会においては国際NGOやメディアを通じた国際世論が非常に大きな役割を果たしている。国連と関係を持つNGOを国連NGOと称している。日本のNGOの存在感は小さい。ニューヨークの国連本部の会議室などで会合を持っているが、日本人の姿はほとんどない。私は国連本体よりも日本は国連NGOや国際NGOと積極的に連携し、国際世論の形成に主導権を持つべきだと考えている。国連NGOの会合に日本のNGOが積極的に参加できるようにするだけではなく、日本に国際NGOの情報・支援センターを作ってはどうか。また国連の枠以外でのできるだけ包括的な安全保障の枠組みを作ることが必要だ。国連を改革するのに時間と労力とお金をかけても無駄だ。別枠で効果的なものを作ってしまう方が早い。新たな発想で安全保障を考えないと、いざという時に対応できない。国連に過度の期待をしてもダメだ。ダメなら、別の道を考えるしかない。(おわり)
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