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2016-09-23 00:00
最近の中国の脅威への対応
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
9月20日付の本欄への鈴木馨祐議員の「東シナ海・南シナ海で起きていることの意味」をはじめ、鈴木議員の論考はいつもながら簡潔明快で考えさせられるものだ。
本稿では、最近会話した中国知識人のソフトな日中関係を望む本音を紹介し、それと我が国とるべき「中国の力による現状変更を断じて容認しない」をどう配合するか、考えてみたい。同知識人は次のように述べた。
9月上旬に中国で行われた「G20サミット」では、二つのエピソードが注目された。安倍総理が宿泊したホテルの便せんに、「感謝」と書き残し署名して机の上に置いた現物が、広く中国のWEBに取り上げられ、改めて漢字を共有する両国の文化での親和性に若者が気づき出していることだ、昨年は、約500万人以上のの中国人訪日光客が渡航し、70%のリピート率だ。常日頃、安倍総理は軍国主義者、歴史、領土問題では中国へ挑戦的と悪評高いが、今回の称賛の声は、削除されないでいる。もう一つは、赤絨毯およびタラップなしという米オバマ大統領へのプロトコールミスだ。自分は、故意のものか、現場での偶発的なものかは判断しかねるが、一部西欧筋の人間は、自分に、米国の常日頃の傍若無人ぶりを言い、よくやったという人間もいた。カーター元大統領などは、国の主権を無視して、旅券なしで渡航することで有名だ。日本に対してもそうした事例があったと聞く(勿論、在日米大使館領事部の人間が、空港に出迎え、即製の旅券を渡し、無事イミグレーションを通過)。習近平主席は、基本的に日中関係を重視している。中国の経済成長が停滞しだした中で、彼は、やるべきことは何でもやろうとの姿勢だ。「真の意味での量から質へ」を行おうとしている。最近特に、地方の指導者から、質の良い日本の支援、技術、ノウハウなどを含め、改めて日本からの助けを望む声が多いと聞く。 習主席は、ハーグの仲裁裁判判決、韓国での「THAAD」配備決定と外交上の失点を責められている。来年秋の党大会で2期目のスタートを控え、党内抗争は激しさを増す一方だ。我々中国人も、実際に何が行われているのか皆目見当がつかない。そして、対外的なソフトな姿勢は出しにくいのだ。
以上のような、中国の知識人の個人的な内話を、日本の分断化、強硬姿勢に水を差す強権国家特有なやり方と取るのも可能であろう。しかし、頼みのアメリカの最近の姿勢、「航行の自由」を公言しながら、実態は極めて弱腰の対中態度について、米国防筋はワシントンのこうした態度に大分いらだっているとも聞くが、領土問題には中立を保つとして、また、中国とは気候問題その他、グローバルに協力していかなければならないイッシュウが多いなどと、何か言い逃れを感じさせる姿勢の中で、アメリカと国際ルールの尊重という基本的価値の共有など本当にあり得るのか、悲観的にならざるを得ない。
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