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2016-09-20 00:00
東シナ海・南シナ海で起きていることの意味
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
ここ数年、アジアの国々の政府高官などと意見交換すると、中国の脅威についての言及が先方からあることが非常に増えてきました。南シナ海、あるいは東シナ海での中国の軍事的な挑発行為を含む様々な行動は、アジアの地域の平和安定に極めて大きな脅威です。力による現状変更を少しでも認めるようなことがあれば、国境、境界の確定が常に不安定になってしまいます。特に中国の東シナ海での現在の主張は、資源が見つかったころから始まり、実際の行動がエスカレートしだしたのは中国の軍事力が強まってからのことです。まさに何の根拠もない典型的な「力による現状変更」であり、断じて容認するわけにはいきません。
ひとたびこのようなことが容認されれば、今後未来永劫、その時々の軍事力のバランスの変化に応じて境界紛争が絶えないことになりかねません。クリミアにおけるロシアの行動、東シナ海・南シナ海における中国の行動が共に国際社会にあって容認され得ないのは、第二次世界大戦以降、それまでの度重なる戦争の惨禍を繰り返さないために主要国の間では少なくともその時点での境界を尊重するといういわばコンセンサスの中で維持されてきた平和な均衡を一気に崩しかねないからです。
もちろん、一方で国際政治にあっては力のバランスという現実に目を向けねばならないのも事実です。国際法は力の前には無力です。だからこそ、現在の秩序や国際的なルールは現実的にはアメリカの軍事力がその実効性を担保しているといっていい。その意味で、アメリカが大統領選挙を経て、対外的な関与をどのように変化させていくのかに国際的な注目が集まっています。それは今の秩序、国際ルールがアメリカの軍事力という担保の下に維持されているからに他なりません。
日本としては、アメリカの国際社会への関与を同盟国として働きかけつつ、今世界的に軍事力と切り離された中でも各国の国民レベルで広がりつつある、国際ルールの尊重という基本的価値の共有と尊重が、長期的に自分たちの利益を最大化するという共通認識に働きかけて、中国の力による現状変更を断じて容認しない環境をアジアの地域に作っていくこと、このことが何よりも重要です。
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