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2016-09-13 00:00
9月11日で何が変わり、何が変わらなかったのか
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
9月11日。あの日から15年が経ちました。当時ワシントンのジョージタウン大学の外交大学院においてVisiting Fellowであった私は、ペンタゴンのすぐ横のペンタゴンシティという町に住んでいました。アメリカを襲った同時多発テロ、その後の世界にも大きな影響を与えたあのテロから15年、非常に感慨深いものがあります。テロの数日後にジョージタウン大学で講演をしたビル・クリントン元大統領が、目の前でこんなことを言っていたのが私の印象に強く残っています。「9月10日を忘れてはならない」。当時アラブ系への攻撃的な動きが米国内でも見られ、そのような国内の断絶はあってはならない、という意味も含まれていますが、その主な論点は、国際政治的な文脈だったと記憶しています。9月10日、テロの前日の世界では何が起こっていたのか。ベオグラードの中国大使館をアメリカが誤爆したことから米中対立が中国側の挑発で一気にエスカレートし、海南島においてアメリカの偵察機に中国軍の航空機が体当たりするといった事件まで発生していました。一歩間違えれば戦争になりかねない一触即発の事態といってもいい状況でした。
まさに世界の国際政治の注目は米中関係、エスカレートする中国の軍事的行動に注がれていました。9.11の映像を見てどこかのコンファレンスルームで中国の記者団が大歓声を上げたといった噂がアメリカ人の間で真実味をもって広く受け取られていたのはその一つの象徴かもしれません。国際政治的に9.11テロは大きな分岐点であったのは事実です。イスラム過激派テログループはそれ以降の国際政治においてカギを握る存在となりました。その代表格であった、アルカイーダのウサマ・ビン・ラディンが殺害された後も、その分子が収拾がつかないほど世界中に広がり、体系的な指揮下ではなく、それぞれが独自に活動し緩やかに連携するなかで、世界中でテロを引き起こしてきました。最近ではHome Grownのようにさらに収拾がつかない状況となっています。
しかし、一方で、9月10日の状況が続いているというのも国際政治におけるもう一つの現実です。特に東アジアにおいては、その流れのほうが強い。北朝鮮、中国、ロシア、こうした軍事大国が力による現状変更を虎視眈々と狙いアメリカの下での世界秩序に挑戦しパワーゲームを繰り広げています。北朝鮮の核問題においても、国連の制裁における主眼が、長い間、第三者・第三国への北朝鮮の核弾頭の流出を防ぐことにあった一方、日本の立場からすれば、北朝鮮の核保有自体が、そして中国の核軍拡自体が、地域の安定を著しく損なう脅威に他なりません。様々な交渉などの場においても、9.11以降の非伝統的脅威に注目が行きがちな国際社会と、9.11以前の伝統的脅威にさらされる北東アジアに位置する日本との間での認識ギャップに苦しめられてきたもの事実です。
ようやくクリミアにおけるロシアの行動、南シナ海における中国の行動と、伝統的脅威への警戒感が国際社会においても高まってきたわけですが、我が国としては、アメリカに対しても、この伝統的、非伝統的、両方の脅威が極めて深刻であることを主張しながら、我が国としての外交戦略を進めていかねばなりません。15年を迎えた9月11日。今後ますます不透明感が高まる国際情勢の中で日本の外交戦略もまた正念場を迎えています。
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