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2016-09-09 00:00
シリア問題をめぐるケリー長官のつぶやき
川上 高司
拓殖大学教授
8月26日、ジュネーブでアメリカのケリー国務長官とロシアのラブロフ外相が会談を持った。議題は、当然ながらシリア問題である。シリアではISの劣勢が伝えられるものの、アレッポでの戦闘が激化するなど一向に内戦が沈静化していない。ISの勢力が衰えれば別の戦闘グループが勢力を伸ばす。アルカイダ系のアルヌスラは、最近名前を変えてファタ・アルシャームとして政府軍への攻勢を強めている。
信念の人であるケリー長官は、それでも希望を捨てない。「26日の米露会談は大きな転機になる」とあくまで前向きであった。もちろん懸念はつきない。最近ではロシアはシリアでの空爆を強化し政府軍への支援もてこ入れをしている。だが、かえってそれが戦闘を激化させ国民を危機にさらし逆に国民の恨みを買っている。アメリカの今の最大の懸念はそこにある。
アメリカ大統領選挙が盛り上がるにつれケリー長官は任期の終わりを意識せざるを得ない。次の大統領がだれになるにせよシリア問題はオバマ政権時代に始まり、その負の遺産を次に渡すわけにはいなかい。さらに上院議員時代からケリーにとって中東問題はまさにライフワークでもある。「終わらせなければならない」とケリー長官は口癖のようにつぶやくが、時間は待ってはくれない。
一方ラブロフ外相も終わらせたいのはやまやまであろう。かつてロシアはアフガニスタンに軍事侵攻し10年も泥沼の闘いを強いられ、結局は国家崩壊の遠因となった。その同じ轍を踏むわけにはいかないのである。次の国務長官がだれになるのか、それ次第では米露関係も大きく変わる。今のうちに合意を形成したいと考えるのは当然だろう。だがトルコはエルドガン政権が強権化へと転換し、アメリカとの関係にすきま風が吹き始めている。サウジアラビアとの関係も蜜月とは言いがたい。シリア問題は対ロシア関係だけでは進展しないのである。ケリー長官のつぶやきは続く。
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