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2016-09-01 00:00
南シナ海仲裁判決の反応にみる中国国民の迷い
倉西 雅子
政治学者
南シナ海仲裁判決直後の中国国内の世論を見ますと、当初は、米国製品のボイコットの呼びかけや対フィリピン批判が起きるなど、凡そ政府支持の反応一色であったようです。果たして、中国国民の民意は、どこにあるのでしょうか。現実として、非民主国家である中国では、当局により情報が徹底的に統制されており、情報空間には相当数の工作部隊が配置されていますので、ネット上の政府支持の書き込みも、中国国民の真意であるとは限らず、政府が演出した「官製の民意」である可能性も否定はできません。
仲裁判決の無視は、自国が「無法国家」と見なされ、国際社会全体を敵に回すことを意味しますので、法的正当性を欠いた自国の立場の弱さは薄々気が付いている国民も少なくないはずです(国民は、政府を批判したくてもできない…)。
その一方で、中国国民は、共産主義体制の下で半世紀以上に亘って教育を受けてきており、中華思想も受け継いでいるとしますと、法の支配を理解しているのかどうかは、実のところ、不安な限りです。このため、「中国の夢」の実現のために政府が違法行為を働こうとも、中国国民はこれを容認し、否、積極的に版図拡大を目指した「侵略」を支持するかもしれないのです。
仮に、南シナ海問題が武力衝突に発展し、中国側が一敗地に塗れたとしますと、中国国民は、どのように対応するのでしょうか。敗戦で言論の自由を得たと仮定しますと、中国国民は、戦争責任は、仲裁判決を無視した習政権にあるとし、自らには責任がないと主張するのでしょうか。それとも、習政権を支持した自分達国民にも責任があると認めるのでしょうか。中国国内の世論が尖閣諸島国有化時と比較して静かなのも、当局による監視も然ることながら、敗戦を予感した上での中国国民「迷い」も原因しているのかもしれないと思うのです。
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