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2007-01-17 00:00
連載投稿(1)普遍的価値観の問題を棚上げしてはならない
鈴木 馨祐
衆議院議員
英米より提出されていたミャンマーに対する人権決議案が、中ロの拒否権行使により国連安保理で否決された。ASEAN+3首脳会議など一連の会議とほぼ同じタイミングでの出来事だけに、東アジア共同体を含むこの地域の今後の取り組みにおいて、自由・民主・人権・法の支配等の普遍的価値観を日本としてどのように位置づけるべきであるのかに思いを致さざるを得ない。
この拒否権行使にはいろいろな見方があろうが、中国(そしてASEAN加盟国のうちのいくつかの国)は、依然として自由・民主・人権・法の支配といった普遍的価値観の自国への波及を好まないという現状が浮き彫りになったことは否定できない事実であろう。たとえ、各国政府が公式発言をどのようにしていたとしても実態はそのように認識せざるを得ない。
一方で日本は外交戦略上も、また日本としての国際社会や地域との関わりにおいても、これまでのわが国の歩んできた道を踏まえ、自由・民主・人権・法の支配といった人類社会に普遍的な価値観を積極的に発信していくことは、麻生外相が主唱する「自由と繁栄の弧」構想においても明確なように日本の長期的国益の観点、さらには世界の経済的繁栄や安定の観点からとるべき道であることは明らかである。
このような状況を考えれば、両者が思い描く「東アジア共同体」は、その根本において大きな価値観のズレを内包していると判断せざるを得ない。そこで日本としての東アジアにおける地域統合を考えるにあたっての根本姿勢を明らかにしておくことが必要である。すなわち、このような普遍的価値観の問題を棚上げしたまま地域の統合を経済レベルであれ政治レベルであれ推進していくべきであるのか、もしくは統合を進めていく上でこのような価値観の浸透も意識して図っていくべきであるのかの決断をしなくてはならない。後者の路線を選択した場合には状況によっては日本が統合の進行にストップをかけなくてはならないこともあるのだから、これは非常に大事な決断である。
私は、ここで日本は後者の路線、すなわち自由・民主・人権・法の支配という普遍的価値観を棚上げしたまま統合に進むことはしないということを明確に打ち出すべきであると考える。もちろん日本や欧米をはじめどの国もこのような価値観の完璧な実現は見ていないのであり、日本としていたずらな一方的な押し付けや急激な変化を求めることは現実的でない以上すべきではないが、他国との関係において原則的価値観の問題の棚上げは絶対にすべきではないと考える。(つづく)
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