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2016-08-25 00:00
領土問題解決の近道は講和条約第2条の解釈の明確化
倉西 雅子
政治学者
南シナ海問題をめぐっては、先般、仲裁裁判にて中国の「九段線」の主張を違法とする判断がくだされ、一先ずは、中国の法的根拠は否定されました。その一方で、南シナ海の領有権問題は積み残されており、根本的な解決には至っておりません。この問題の発端は、サンフランシスコ講和条約において、日本国がどの国に対して領土を放棄したのか、明記しなかったことにあります。放棄先不明の領土は、(1)台湾及び澎湖諸島(第2条(b))、(2)千島列島並びに樺太南部とその近接する諸島(第2条(c))、(3)新南群島及び西沙諸島(第2条(f))です。
今般の南シナ海問題は、主として(3)の新南群島及び西沙諸島に関わりますが、この問題は、北方領土問題や国際法上の台湾の地位などとも深くかかわるのです。領有権問題の解決策としては、同条約第22条の手続きに従い、条約の解釈上の問題、即ち、割譲先不明の放棄領土を無主地と見なすのか、否かを、国際司法裁判所に判断を仰ぐ方法がありますが、仮に、同裁判所で受理され、無主地と判断された場合、南シナ海と北方領土の問題は解決に向けて大きく前進し、台湾の国際的地位も安定します。
南シナ海に関しては、武力で現状を変更した中国を除いて、平和裏に実効支配した諸国の領有権が確定し、領土問題解決の目途が立ちます。北方領土問題については、条約の当事国である日本国が、北方四島の領土放棄を認めておらず、領有権を一貫して主張しているために、無主地とはなりませんが、その北方四島以北の千島列島と樺太南部は、ロシア領とする法的な線引きは可能となります。
また、台湾に関しては、中国は、一度たりとも台湾に統治権を及ぼしたことはなく、中華民国により実効支配され、現在、政府は台湾に引き継がれているのですから、台湾の国際社会における独立主権国家としての地位が不動のものとなるのです。ロシア、中国、並びに台湾も同条約の締約国ではないものの、国際司法裁判所の判決となれば無視できないはずです。このように考えますと、サンフランシスコ講和条約第2条の解釈を明確にすることこそ、領土問題解決の近道であるかもしれません。日本国政府をはじめ、当事国となる各国政府には、是非、この方法を検討していただきたいと思うのです。
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