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2016-08-16 00:00
ヘリマネ「偽薬」が日本をピンチからチャンスに変える
田村 秀男
ジャーナリスト
「空振りとは言えないまでも、ファウルだな」。安倍晋三首相の周辺は、日銀が29日の金融政策決定会合で長期国債買い入れ拡大を見送ったことで肩すかしを食らった。財政資金を供給する「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)」を警戒する黒田東彦日銀総裁と、安倍首相周辺には深い溝ができた。しかし、金融緩和偏重では、「黒田バズーカ砲」は無駄撃ちを続けるばかりか、砲弾を撃ち尽くしてしまう。日銀はヘリマネという劇薬は無理でも、偽薬の処方には応じざるを得ないだろう。
経済というものはカネの動き方で決まり、カネを使う消費者や経営者の心理が萎縮していればデフレから抜け出られない。日本にカネはあるが回らない。日銀は年間80兆円もカネを刷って金融機関に流し込んでいるのに、銀行は日銀当座預金に300兆円以上も留め置いている。日銀が当座預金新規分について利子を徴収するマイナス金利を2月に導入したにもかかわらず、銀行はどこ吹く風だ。6月までに日銀当座預金をさらに40兆円も増やした。このうちマイナス金利適用分までも3.4兆円増えた。
対照的に、銀行貸出増加額は6600億円にとどまる。銀行は、企業が借りてくれない、という。無理もない。企業の利益剰余金は3月末で320兆円もある。日銀当座預金、利益剰余金とも、融資や設備投資、雇用改善に使えるはずの軍資金だ。その合計残高は600兆円以上、それが毎年100兆円ずつさらに増えている。日銀がいくらカネを刷っても、さらにマイナス金利にしても、無駄金になるだけで景気は一向に良くならない。金融緩和偏重の政策限界は歴然としている。政府が巨額のカネをヘリでばらまくがごとく、日銀マネーを財源に財政出動すればデフレは解消するだろう。が、財政規律は乱れ、悪性インフレになるという負の副作用が心配で、黒田氏に限らず、安倍首相だってそこまで大胆にはなれない。
ならば副作用がほとんどない偽薬の出番だ。国債発行して民間の余剰資金を吸い上げて財政支出する。が、国の借金は国内総生産(GDP)の2倍以上もあると財務官僚が待ったをかける。安倍政権が打ち出す経済対策は総事業費28兆円と銘打っているが、使われるかどうか不確かな政府系機関の融資などで粉飾する苦心ぶりだ。債務の制約で国債増発は数年間で5、6兆円が限度と迫力不足だ。解決策はある。政府は債務を増やさずに、民間資金を活用する。国債と同じ条件で発行する財投債は政府の借金ではないと国際的にも認定されている。さらに、政府が超長期国債を発行し、日銀が市場経由で買い取って40~50年間保有し続けることにすれば、政府は巨額の債務償還を長期間避けられる。巨大な札束の山に埋没しかけている日本列島をピンチからチャンスに変える絶好の機会が到来している。黒田総裁は間髪を入れず安倍首相と話し合うべきだ。
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