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2016-08-09 00:00
「中国的秩序」の復帰を図る中国
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
第1次安倍内閣の時に、前小泉総理による毎年の靖国参拝で一気に冷え込んでいた日中関係回復の一つのプロジェクトとして、「日中歴史共同研究」が立ち上げられた。古代から現代にいたる日中の交流の歴史を回顧し、停滞している日中関係を少しでもアクティブなものにしようとの狙いからだ。日本側座長を務めた、北岡伸一・東大教授(当時)は、「agree to disagree(意見を異にするということで意見を一致させる)」のが狙いだと、当時の論説で述べている。報告書には、両論併記的に日中の学者の論文が記載されている。この告書は2010年1月に発表された大部なものだが、第2次大戦後の記録、すなわち中国共産党政権樹立以後の記録は記載されていない。当時の新聞記事などからうかがうに、印刷の直前に中国側から強い要望で削除されたとのことだ。
中国においては、いまだ天安門事件はもとより、文化大革命なども真の決着がついていないことを示している。中国人知識人と話していると、彼らがよく持ち出すのに「田中上奏文(英文:Tanaka Memorial)」がある。昭和の初めに、当時の田中義一総理が昭和天皇へ上奏したものとされ、内容は、中国を侵略し、その後世界制覇を図るものというものだ。発信元は米国といわれる。日本側の研究者は偽造文書とするが、いまだに中国や欧米の一部では本物ととらえ、日本はいつまた、世界制覇を狙ってくるかわからない不気味な存在であると評したりする。
今評判のMichael Pillsbury著『The Hundred –Year Marathon』では、中国は世界戦略のもとで、米国をだましつつ動いているのだとしている。知人の日本人研究者は「米国では、毎年あるいは一定の期間ごとにきちんと報告書などを発表するが、中国はそうではない」と述べる。最近は、米国などの真似をして、『○○白書』などと銘打って打ちだすようになったが、多くの数字はインチキだし、中身も信用できないことが多い。かつて李克強総理は、米大使へ「中国の統計は信じないほうが良い」と述べている。同知人によると、「中国は戦前の日本と同じように大戦略などつくれない。実際の言動から帰納して戦略といったりするのだ。彼らは、戦略があるフリをする名人でもある。だから、アジアに友をつくろうといいつつ、いたるところでConflictを招いている。彼らは、ややもするとすぐにばらばらとなる本質を抱えている。中国の伝統的な考えである、『華夷システム』や、東夷、南蛮といった蛮族をうまく操縦するのが外交だとの考えも時に強く浮上してくる。領土紛争においても、中国人は、ロシア、中央アジアとは、うまく友好的に解決した」と述べている。
日本とはどうかとの問うたところ、「無期限の延期作戦で、機会あらば力を行使しようと政権は考えているかもしれない」と冗談めかして答えた。経済力が日本の2.5倍となった(数字は中国側の発言)大国中国は、これからますます自己主張の激しさをまし、いわゆる中国的秩序、世界の中心だった栄光の時期にもう一度復帰を図ろうとするだろう。
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