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2016-07-22 00:00
ますます分裂の危機にあるアメリカ大統領選挙
川上 高司
拓殖大学教授
7月18日からクリーブランドで共和党の党大会が始まった。ドナルド・トランプが共和党候補になることは間違いなかったが、その副大統領にだれを指名するのかに関心が集まっていた。共和党の分裂を避けるためにもおそらく副大統領は保守派から選ぶのではないかと憶測が飛び交っていたが、予想通り手堅い保守派を指名してきた。インディアナ州知事のマイク・ペンスは社会保守派の筆頭であり、予備選挙ではトランプを批判していたペンスだったが、トランプは彼を副大統領として指名した。党大会を経て本戦はこの2人で闘うことになる。ペンスはインディアナ州生まれで2000年から2009年は米下院で実績を積み、インディアナ州に戻って州知事に就任している。早くからティーパーティを取り込んだ筋金入りの保守派である。
今年の大統領選挙は、これまでの選挙とはかなり異なる展開になっている。トランプの放言・暴言の効果か、国民の選挙への関心は非常に高い。史上初の黒人大統領の誕生ということで注目を集めた2008年の大統領選挙ですら62%の関心度だった。今年はそれを上回る77%という高い注目を集めている。にもかかわらず有権者の65%は、重要な問題が置き去りにされている選挙だと感じているのである。しかも、共和党も民主党の候補者も党の支持が45%にすぎない。中身のない選挙戦だというわけだ。
いったい誰がトランプを支持しているのだろうか。それは支持しない人々を明らかにすればよくわかる。直近の世論調査によれば、男性の支持は49%だが女性の支持は35%にすぎない。トランプは女性に人気がない。さらに黒人の支持はわずか7%、ヒスパニックの支持は24%となっている。ヒスパニックの女性に限れば19%の支持しなかい。さらに若者の支持も30%台で低く、年齢が上がるとともに支持率も40%台へと上がっていく。さらにエバンジェリカルの支持は、クリントンに比べると圧倒的に高い。つまり、白人男性福音派の中高年以上が支持するのがトランプなのである。トランプ大統領が誕生すれば、アメリカは人種の分裂がますます深まる可能性がある。
オバマ政権の8年間で、白人はどちらかといえば劣勢にじわじわと追い詰められてきた。その逆襲としてトランプに支持が集まっているとするならば、アメリカ社会の深刻な分裂が懸念される。ダラスでは黒人が射殺された報復として5人の警察官が射殺されるという事件が起こっている。不穏な空気の中での共和党大会が開催されるのである。世論は、人種問題をうまく扱えるのはクリントンであると66%が考えている。トランプは差別主義者だから人種問題は扱えないとの見方が強い。トランプが大統領となるアメリカは今以上に社会の分裂が深化し危機的状況に陥るかもしれない。そして副大統領が筋金入りの白人保守派であることから、ますます分裂の危機は高まっている。
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