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2016-07-13 00:00
(連載1)水で栄えた中国が水に苦悩する
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
世界四大文明としてあげられるのは、メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、中国文明である。そのどれもが大河の近くで誕生し、発展した。メソポタミア文明にはチグリス川とユーフラテス川、エジプト文明にはナイル川、インダス文明にはインダス川、中国文明には黄河、長江があった。水は人間の活動にはなくてはならないもの。水とともに文明は発展してきたのである。
この四大文明の一つの地域である中国で、「水」が問題となっている。CNN香港(2016年6月27日)は「中国の北京で地盤沈下が進み、最も被害が大きい地区では年間11センチも沈下していることが27日までに分かった。中国を拠点とする国際調査団が調査結果を発表した。沈下の原因は地下水の枯渇にあると指摘している」と報じている。北京では、工業用水や生活用水の3分の2を地下水でまかなっているという。中国全体でも3分の1を地下水でまかなっている。つまり、中国では地下水は重要な水の供給源なのである。
中国は国全体で見ると、水資源総量は23258.5億㎥(2011年現在)で大きく、世界の第4位に位置する。しかし中国の人口は大きく、全国の1人当たりの水資源量では1730.4㎥となり少ない。これは世界的にも非常に少ない方に入る。しかも、水資源は地域によって偏っている。一般的に、北西にあたる東北地域や華北地域、西北地域は乏しい。北京は華北地域に入っている。中南・華南地域や西南地域は豊富である。そして困ったことに、水資源が少なくなる傾向にあるのに対して、水の使用量は増えている。特に中国の北西においては、慢性的な水不足が問題化しているのである。
工業化のためには、水の大量消費が必要になる。洗ったり、冷やしたり、様々な用途に使われる。水をあまり使わない産業はサービス業など一部である。経済発展を遂げた中国は、大量の水を消費する国にもなったのである。また、家庭においても大きな変化が起きている。トイレが水洗化した。中国では今でも田舎では昔ながらのぼっとん型のニーハオトイレがあり、話題になるが、都市部では水洗化した。中国トイレ革命である。当然のことながら水の消費量は高まる。また清潔を保つことが求められるようになった。風呂やシャワーの回数は増えるし、洗濯の回数も増える。日本でもヨーロッパでもそうだが、以前は洗濯はあまりしなかったのである。それが毎日のように洗濯をするようになった。中国もその流れがきている。水の消費は文化的生活を保つのに不可欠なのだ。(つづく)
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