ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2016-07-07 00:00
安保論争で「民共」真田丸は陥落の危機
杉浦 正章
政治評論家
選挙最終盤に至って新聞に「改憲4党3分の2に迫る」 とか「自民は単独過半数視野」といった見出しが躍っている。大河ドラマを待たずに、野党の真田丸は陥落状態に陥った。論戦を見るとアベノミクス論議は野党が完敗、憲法論議は肩透かし、最後に残った安保法制をめぐる論議も、共産党が防衛予算を「人殺し予算」と形容して、集中攻撃を受け、完膚なきまでに叩きのめされた。選挙の論争は言い訳に転じたら、負けなのだ。こうして戦後初の民共共闘は、とても自公共闘を制圧出来るようなものではなかった。なぜアベノミクスで野党が完敗かと言えば、民主党政権時代と比較して、失業率が格段に低下して、人手不足が物語るように事実上の完全雇用が実現している実態が挙げられる。大企業のトリクルダウンで中小企業も史上最高の利益。この現実には、野党がGDPがどうのこうのと言っても、始まらないのだ。野党が意気込んだ憲法論議も、首相・安倍晋三はうまいのか、ずるいのか、何と街頭演説では改憲のかの字も口にしなかった。幹事長・谷垣禎一も「改憲は野党第1党との合意で」などと、トーンを弱めた。傑作なのは、自民党副総裁・高村正彦が「岡田氏が、この選挙戦で改憲勢力が3分の2をとったら、安倍首相は必ず憲法9条を変えると言っているが、デマの類いだ」発言。民進党代表・岡田克也がかんかんに怒って「全くの誹謗(ひぼう)中傷で、選挙妨害と言われても仕方がない」として、自民党に発言の撤回と謝罪を文書で要求した。しかし選挙での発言で謝罪を要求しても、同情する者はいない。言われ損だ。的確に言い返せば良いことだ。
残る野党にとっての真田丸が外交・安保論争であったが、自公の攻撃は民共共闘の弱点を突きに突いた。それも「天の時、地の利」をフルに活用しての戦法を駆使した。天の時は極東を取り巻く環境の激変。地の利は大災害と自衛隊との関係だ。1番分かりやすいのが安倍の街頭演説だ。「共産党は自衛隊が憲法違反であり解散するといいながら、災害があったら出動せよと言う。急迫不正の侵害には命をかけよと言う。ひどいじゃありませんか」だ 。これは分かりやすい。共産党は「問われているのは、自衛隊が合憲か違憲かではない。自衛隊を海外の戦争に派遣していいのかということだ」(書記局長・小池晃)と反論。しかしこの反論は、北朝鮮のミサイル実験や中国艦船による領海侵犯、中国機の自衛隊機への急接近など緊迫した現実を無視して、「海外派兵」などという誰も考えていない観念論にすり替えようとしているのが弱い。
そうこうするうちに、共産党でまるで自爆行為のような発言が発生した。政策委員長・藤野保史が防衛費を「人を殺すための予算」と発言したのだ。もともと左翼勢力にはこの思想があった。かつて社民党の福島瑞穂が、「自衛隊を国防軍と改称し、集団的自衛権を与えたら、彼らは人殺しをする」と断言。民主党政権時代には官房長官・仙谷由人が「自衛隊という暴力装置」と発言している。慌てて共産党は藤野を政策委員長から外したが後の祭り。絶好の攻撃目標にされた。公明党代表・山口那津男の発言が1番クリアカットだ。「地震や災害で一番人の命を助けたのは自衛隊であった。それを『人殺し予算』などと言う血も涙もない共産党には、人命や財産を任せるわけにはいかない」と切りつけた。中盤から終盤戦にかけて、自公がこの「人殺し予算」を街頭演説やテレビ党論でフルに活用したのはいうまでもない。
これに対する野党の反論は、言えば言うほど言い訳めいて、説得力に欠けた。小池が辛うじて「自衛隊を違憲だとしている社会党の村山富市氏を首相に指名した自民党に言われたくない」と切り返したのがうまかったくらいで、後は押されっぱなしだ。民共共闘を進めた岡田が「共産党は、自衛隊が違憲だから直ちに廃止するということではない。現状では認めている」と加勢に出たが、共産党の過去の歴史から見て、説得力に欠けた。共産党はかつて憲法を改正して、人民の軍隊を持つことを党是とした時期があり、まるで中国共産党傘下の人民解放軍をイメージするかのようであったからだ。それより安倍が「共産党が目指すのは自衛隊の解散、日米安保条約の廃棄だ」という発言が一番分かりやすい。
噴飯物は幹事長・枝野幸男が「安保法制が出来た後の方が北のミサイル開発が進み、中国の艦船が領海に入ったりするケースが多い」と発言したことだ。この論理から言えば、民進党政権時代に、明らかに中国軍の指図で漁船が領海に侵入して巡視船に体当たりをしたにもかかわらず、船長をすぐに釈放したケースを忘れている。中国はこれをみて、尖閣を奪取できると判断したかも知れないではないか。民主党政権が続いていれば、尖閣は間違いなく危機に瀕した。安保法制の抑止があるからこそ、北も中国も現状程度で抑え込めている事が分かっていない。指導者が度し難ければ、選挙に負けるのだ。民進は改選議席43を大幅に割り込み、30前後となりそうだ。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会