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2016-07-03 00:00
英およびEUと対中関係について
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
最近の傍若無人にふるまう中国にどう対応していくかは、日本に取り喫緊の重要問題だ。今中国は、「対米挑戦」を対外政策の核にしている。遅まきながら、やっと気づきだした米主流の関係者が焦りだしているのが現状だ。米は、今まで中国の勃興は、平和の裡に行われる、いま中国を助けていれば、やがて民主的で平和な大国になると幻想を抱いていた。日本も、このラインで動いてきた。
一方、EUは、もともと米に対抗してできたといってもよい。世界を多極化に導く力が強く働いていた。これは、中国が今まで隠し日米などを欺いてきた対外政策に、うまく適合した。中国は、米への対抗の手段として、英、EUへ接近してきていた。ユーロ支援も大々的に行った。これは、ドル体制支援への挑戦としての側面がある。中国は来年秋以降と目される党大会、すなわち第2期習近平体制構築に向け、水面下で、権力闘争が行われている。日米の識者の多くは、中国の安定性に疑問を持つ。経済も曲がり角で大変調をきたしているとみる向きが多い。しかし、英もEUも、地理的に離れていることもあり安全保障問題には利害が薄いということで、こうした認識が薄く、あくまで経済優先だ。人権、民主化問題などには目をつぶり妥協を重ねているのが現状だ。
特に独の姿勢が目立つ。思い出すのは2012年尖閣問題で、中国が反日暴動で大荒れの時、独の中国での自動車販売店の店頭に、「日本人は皆殺しだ。日本国土を焼き尽くせ」との横断幕が出ていたのをネットで見ることができた。西側の誰かが忠告したのか、間もなくひっこめられた。私が接触した、ポーランド人は、「独の人間は、頑固で、視野が狭く、相手の心理を理解することが下手だ。この点英国人とは、対照的だ」と述べていた。しかしその英もEUも経済的利益に目がくらみ、中国傾斜の面が強い。
だが彼らも、実務面では中国の不公正な取引、知的財産権無視、公開入札での相互尊重の欠如など頭を悩ます問題を多々抱えているので、われわれは、常時、、彼らの良心を呼び覚ます努力を続けることがこれから必要だ。そして忘れてならないことは、わが国は、中国とビジネスを行う際、中国社会の変動で、人命、企業、資産などが脅かされたとき、それを守る力が欧米に比べ格段に落ちるということである。邦人救援のための自衛隊機使用はもちろんのこと、民間機使用さえ難しいのだ。
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