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2016-06-07 00:00
ファルージャに平和が戻ったときにイラクの平和が実現する
川上 高司
拓殖大学教授
2003年の米軍によるイラク侵攻以来、たびたび敵対する勢力の主導権争いで戦場となり悲惨な体験を強いられてきた首都バグダッドの近郊にある街ファルージャが、ISとの闘いで再び戦禍にさらされている。2014年、ISISの支配下に陥落したファルージャはバグダッドからわずか70キロしか離れておらず、バグダッドでの自爆テロの拠点となり常に首都を脅かす存在となっていた。
米軍は地上戦の前に敵に空爆を実施して敵の勢力をそぐが、その定石どおり今回は5月14日から20日にかけて米軍はファルージャに猛烈な空爆をしかけ、23日からイラク軍、シーア派人民軍、スンニ派部族民兵部隊の総勢1万人の合同軍がファルージャを包囲し攻勢をしかけた。事前に住民には避難するよう告知したがほとんどの住民は行き場がなく街にとどまっていた。
ファルージャはシーア派の聖地であるカルバラに近い。そのためイランの支援を受けたシーア派人民軍も参加しているのだが、スンニ派が多数を占めるファルージャにシーア派軍が入城するということ自体が、ファルージャ住民の不安をかき立てる。かつて熾烈な宗派抗争が勃発したが、その抗争が再び起こるのではないか。ISから開放してくれる部隊が自分たちに敵意を持っているのだ。スンニ派住民の不安が強いのは当然である。もっともこの合同部隊はISという共通の敵に対抗しているのだから、宗派闘争のような事態にはならないと楽観視する声もあるが、ファルージャ奪回後の統治プランがイラク政府にないことから混乱する可能性は高い。
ファルージャは、2003年まではイラクのバース党の支配下にあった。米軍の侵攻時にはファルージャで反米スンニ派勢力が米軍に対して徹底抗戦をし米軍の猛攻撃を受けて陥落したものの、2004年にはアルカイダの支配下になり、そして2014年にイラクで最初にISの支配下となった。まさにイラクを象徴するような悲惨な街の歴史を持つファルージャに、平和が戻ったときがイラクの平和が実現する日とも言える。ファルージャの平和を願ってやまない。
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