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2016-05-30 00:00
「民共共闘」の危険性
加藤 成一
元弁護士
7月の参議院選挙が迫り、衆参同日選挙も取りざたされているが、最近における日本共産党の動きをみると、同党はいよいよ「選挙共闘」を手段として、権力奪取を本気で狙い始めたようである。民進党など野党との連携や、シィールズ、ママの会、学者の会などとの「統一戦線」の結成など、決して侮れないであろう。民進党は、当初こそ「共産党シロアリ論」(前原誠司衆議院議員)など、強い共産党アレルギーがあった。
しかし、最近ではそれも次第に薄れ、安倍政権打倒・政権奪取のためには、手段を選ばず、「悪魔とでも手を握り」(民進党宮城県連幹部5月18日付け「産経新聞」朝刊)、参議院選挙のみならず政権選択の衆議院選挙でも、共産党との選挙共闘(「民共共闘」)を辞さない構えである。これは、逆に言えば、安倍政権が強いからであり、民進党一党だけでは、到底政権奪取が不可能だからであろう。しかし、民進党が、共産党の力を借りて政権奪取を実現すれば、共産党の発言力は一層強くなり、同党の意向を無視できなくなるであろう。したがって、共産党を含む「民共連立政権」の可能性も排除できないであろう。
共産党の最も恐ろしい点は、権力を奪取するまでは、議会主義や言論の自由など、民主主義を手本として最大限利用し、権力を奪取した後は、プロレタリアート独裁(共産党独裁)を断交し、民主主義を根こそぎ破壊することである(レーニン著『国家と革命』邦訳レーニン全集第25巻499頁1957年大月書店刊)。コミンテルン(国際共産党)は、共産主義革命のためには「議会主義を破壊する目的で議会主義を利用すべきである」と言っている(『コミンテルン資料集』第1巻村田陽一編訳224頁1978年大月書店刊)。不破哲三前日本共産党議長も「国会を革命の前進のために活用する」と言っている(不破哲三著『人民的議会主義』294頁1970年新日本出版社刊)。また、日本共産党が一貫して「自衛隊廃止」を主張するのも、コミンテルンによる日本革命の方針であった「現在の軍隊・警察等の廃止」と符合する(『前掲載資料集』第2巻516頁以下)。革命前の「現在の軍隊・警察等」は革命の障碍だからである。
このように、「民主主義を破壊する」が故に、共産党は、ドイツでは1956年連邦憲法裁判所により非合法とされ、アメリカでは1954年政府により非合法とされている。「民共共闘」を手段とする政権奪取には様々な危険性がある。国民は、政権奪取後の『政権』をも見据えて、誤りなき判断をすべきであろう。
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