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2016-05-23 00:00
大統領選挙とシリア
川上 高司
拓殖大学教授
オバマ政権は、内戦が始まってから一貫してアサド大統領の退任を要求してきた。しかし、「今では退任を要求することは非現実的であり得ないというムードが漂っている」、とオバマ政権で外交政策の上級アドバイザーを務めていたフィル・ゴードンは内情を明らかにした。ゴードンは、今ではクリントン陣営の外交政策チームの一員となっている。ゴードン自身はアメリカが軍事介入しない限り内戦は終わらないだろうが、アサドの退任は現状では封印すべきであると考えている。
民主党のクリントンはリベラル・ホークであり、国務長官時代からシリア反政府側への軍事支援の拡大を強硬に主張してきた。クリントンが大統領に就任したら、今進行中の平和交渉が断絶する可能性もある。昨年12月には、反政府側への支援の拡大に言及している。しかもクリントンの外交政策チームは、ゴードン以上に強硬姿勢である。アサドの退任で妥協することは反政府側だけでなく、長年の盟友であるサウジアラビアやカタールを怒らせることになるから、妥協するべきでないというのだ。
いまやアメリカのシリア政策は、アサド問題よりもISを殲滅させることに重点が置かれている。ケリー国務長官もアメリカの目的はISの打破だと公言してはばからない。国家の体制を破壊して新たに構築することは、アメリカは長きにわたって多大な犠牲を覚悟しなけれならないが、世界の警察官から降り新孤立主義を貫くオバマ政権がそのような重責を引き受けることはあり得ない。
大統領が交代すれば話は別である。たとえ同じ民主党のクリントンであっても外交政策が転換する可能性はあるし、共和党とはいえトランプがオバマの外交政策を引き継ぐかもしれない。シリア政策に関して言えばクリントンは強硬派であるがトランプは関与を否定しており、クリントンとトランプの外交政策は真っ向から対立する。次の時代にアメリカはどう世界と関わっていくのか。世界にとっても無関心ではいられない、重要なテーマである。
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