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2016-05-15 00:00
(連載2)日豪関係強化に向けて
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
また安全保障の観点からは危機感のレベルの違いはあるものの、オーストラリアからの天然資源などの輸出品の大半が南シナ海を通過することからシーレーンの航行の自由の確保についての危機感は極めて強く、その観点から南シナ海のパトロールについては長年行ってきているとのことです。特にトランプ候補が共和党の指名を確実にする中で、アメリカの対外政策の今後が不透明になっており、アメリカを孤立主義や財政問題の中でいかにアジア、西太平洋地域につなぎ留め米国の軍事プレゼンスを維持できるか、日米豪が関係を共同演習など名実ともに深化させ、ASEANの国々やインドと関係を深めていくことが極めて重要との認識は与野党通じて共通しており今回の会談を通じて、理解を深めることができた点です。
今回は、訪問時期が潜水艦決定の直後であったこともあり、特に言及されることも多かったのが潜水艦問題でした。与野党共通の認識として、潜水艦問題に関しては日豪関係や日米豪の戦略的パートナーシップの深化といった観点とは異なった政治判断、具体的には雇用や専門家で議論された潜水艦の仕様などの関係で政府の判断はやむを得ない。しかし日本が失望していることは十分理解するし、豪州から持ち掛けたものでもあるので大変申し訳なく思っている、というのが率直なところかと思います。日本にとっては残念な結果だったが、決して大局的な日豪関係に影響を与えてはならない、むしろこの一件で逆に今後の(オーストラリアの)行動が重要になるとの見解が大半でした。
一点気づいた点があるとすれば、南シナ海や中国の動きへの懸念はシーレーンの観点から強く持っているものの、東シナ海の問題に関しては認識がほとんどされておらず、この点については外交当局の働きかけが重要だと思われます。最後にオーストラリアは基本的に二大政党の国であり、政治的には、訪問の時期が上院下院のダブル選挙の解散直前であったこともあり、与野党の対立点が顕在化する時期でした。
しかし、中道左派の労働党ですら自由貿易に強くコミットしており、安全保障や自由貿易へのコミットメントについては与野党で大まかなコンセンサスが存在していることは非常に印象的でした。10年程度で交互に政権を二大政党が担ってきたいい意味での二大政党制の定着を象徴している点といえるかもしれません。いずれにしても、今回のオーストラリア出張で、日豪関係の強化に超党派の次世代の政治家で有力政治家と会談できたことは、多少なりとも長期的な日豪関係の強化に貢献できたのではないかと思いますし、与党の政治家として、今後しっかりと関係強化に努力していきたいと思います。(おわり)
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