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2016-04-29 00:00
(連載2)オスプレイの熊本地震での物資輸送を考える
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
オスプレイは、ヘリのように垂直離着陸や空中停止することも、飛行機のように水平に高速飛行することも可能です。時速も約500キロもでますし、航続距離は約3900キロメートルで、他の物資輸送のヘリコプターよりもはるかに早く、遠くまで運べます。ヘリとプロペラ機のイイとこ取りといった優れた軍事輸送機です。ただこの特性が活かされるには、輸送距離が長く、なおかつ物資輸送の場が厳しい場所であるなどの想定が必要です。軍事的にはそうしたケースはありますから、この優れた輸送機は意味があります。ポイントは今回の地震においてこの能力が必要であったかです。岩国から熊本へは300キロくらいの距離です。輸送用ヘリであれば、北九州からでいいので、150キロ位の距離でいいのです。とすれば、自衛隊が保有しているCH47で十分です。
輸送できる貨物量もCH47は優秀です。自衛隊はCH47を多く保有しています。輸送量も条件によりますが、今回のような場合であれば、オスプレイよりも優位性があったと考えられます。実際に、4月18日から23日までの2機~4機の輸送での36トンの輸送物資量はCH47を使った場合より優位性があったとは言えないでしょう。日本国内の物資輸送であれば、自衛隊が保有するヘリで十分です。滑走路のある飛行場も使えるようになると、輸送用プロペラ機が優位性を持ちます。速度、輸送量、燃費などで輸送用プロペラ機は重宝されます。
オスプレイは、ヘリとプロペラ機の両方の特性を持った素晴らしい機能を持っています。しかしその機能は特定の条件下において発揮されるものです。フィリピンの大型台風やネパール地震などではその機能が発揮されました。今回のケースはかなり微妙です。ただ、政治的な思惑があるからこそ、そこまでの支援が可能であったといことも確か。企業なども支援をしていますが、それも企業のイメージアップと重ねてのこと。純粋に利他的に支援する企業はほとんどありません。まずはアメリカ軍への感謝です。しかし同時に今後においてはより効果的な支援をどのようにするかは、しっかりと議論しておく必要があります。
自衛隊が保有している輸送ヘリの性能には素晴らしいものがあります。非常に多くの輸送ヘリを持っています。それを非常時にしっかりと活用できる体制づくりも求められます。被災地への物資輸送にオスプレイを使ったことに関しての議論は熱いものがあります。賛成する人も反対する人もかなりの激論を交わしています。冷静に被災者救済のためにどう考え、何をすべきか。はじめから肯定したり、否定したりするのではなく、被災者救援のための冷静な考察が求められます。(おわり)
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