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2016-04-24 00:00
(連載2)伊勢志摩サミットと新成長戦略
角田 勝彦
団体役員、元大使
次は財政である。3月29日、総額96.7兆円に上る2016年度予算案が成立した。政府は、待機児童の解消や消費刺激策を柱として、女性や高齢者が働きやすい「一億総活躍社会」の実現に向けた総合策を5月にまとめ、今秋をメドに16年度補正予算案を国会に提出するようである。熊本地震で前倒しもあろう。来年4月に予定される消費税率引き上げの再延期も行われよう(IMF予測では2017年の日本のマイナス成長予想は同年4月の消費税増税による内需の縮小を予測してのものである)。ただサミットでの「財政出動による国際協調構築」合意には、財政負担の増加を懸念するドイツ等が慎重といわれる。
アベノミクスは「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」に加え「規制緩和などの成長戦略」で脱デフレを目指してきた。政府は、4月19日、産業競争力会議を開き、成長戦略の概要をまとめた。議長の安倍首相は「既存の枠組みを果敢に転換してビジネスを生み出す。今が若者の未来を左右する分岐点だ」と成長戦略の狙いを説明した。
この成長戦略では、具体的に成長を目指す10分野の分野ごとに数値目標が示される。現在約500兆円の名目国内総生産(GDP)を2020年頃に600兆円に高めるため、ロボットやIT(情報技術)による第4次産業革命で新しい市場をつくることが柱に据えられている。環境も引き続き重点分野に位置づけられている。省エネルギー住宅など環境分野の投資を30年度までに官民合わせて現在より10兆円多い年28兆円に増やし、国際公約である温暖化ガスの排出削減と投資拡大による経済成長の両立をめざすともされている。高度人材に永住権を認める体制も整備する。
成長を追求する方向性は正しいし、内容も充実している。ただし、この600兆円目標の実現のためには年平均約3%の経済成長が必要になるわけである。主役の民間がどう実現するかの懸念が残る。最近の世論調査はアベノミクスに好意的ではない(毎日新聞4月16、17両日、全国世論調査で「評価せず」54%「評価する」23%)。安倍内閣もこれを感じて選挙の前に異論が多いTPP法案などの審議を遅らせている。参院選の前哨戦として4月24日に投開票される衆院北海道5区の補欠選挙での国民の反応は興味深いものがある。伊勢志摩サミットでは政策協調の実効性が問われている。安倍首相は議長としてどんな成長戦略協調を打ち出すのだろうか。(おわり)
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