ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2016-04-08 00:00
(連載2)消費税増税は賃金デフレや格差を生む
田村 秀男
ジャーナリスト
消費税増税の延期は当然だ。デフレ下の増税は自殺行為ということくらいはノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ、クルーグマン両教授を首相がわざわざ公費で招いてご託宣を伺わなくてもわかりそうなものだが、恐るべきことに東大など国内の主流派学者や著名エコノミストの多数が財務官僚の意のまま「消費税増税は景気を悪化させない」と説き、メディアを通じて消費税増税推進世論を作り上げてきた。首相がこの包囲網を突破するには、海外の権威ある声に頼るしか手がなかったのだろう。
だが、有効な解決策は自身が見つけるしかない。デフレ圧力を受けて製品価格を上げられない企業は人件費を抑え、非正規へのシフトを図る。可処分所得が減り、雇用条件が悪化する勤労者は消費を切り詰めるから内需は萎縮する。チャイナリスクなど外部からの衝撃にもろくなる。この悪循環を断ち切るためには、消費税増税を1、2年程度先延ばしする程度では迫力不足かもしれない。
内需の伸びを受けて物価がなだらかな上昇基調に転じ、賃金水準が物価上昇と同等もしくはそれ以上に上昇を続けるメドがたつまでは増税を凍結する必要がある。内需拡大のためには、消費税率引き下げも検討課題だが、社会保障関連予算が消費税収入にリンクしている現状では実行に難がある。低所得層への給付も代案になりうるし、介護士や保育士の給与引き上げも不可避だろうが、一時しのぎのばらまきに終わりかねない。
真に意義のある財政出動のためには中長期的な成長を支え、賃金・雇用を着実に改善していくプログラムが欠かせない。安倍政権が金融緩和と合わせ、まともな財政政策と組み合わせる具体的な方策を打ち出せば、消費税増税による災厄を「塞翁が馬」とすることができるはずだ。インフラ整備、基礎研究、航空・宇宙、医療など成長分野への政府資金は将来の成長を支え、人材を育てる。幸い財源はある。マイナス金利で国債を発行すれば、政府には発行益が入る。今しかない。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会