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2016-03-05 00:00
「野党連合」の懸念と危うさ
加藤 成一
元弁護士
民主党、共産党、維新の党、社民党、生活の党の野党5党は、参議院選挙党で「選挙協力」を行って、昨年9月に成立した安保法制の廃止、集団的自衛権の限定的行使を容認した一昨年7月の閣議決定の撤回、安倍内閣打倒で合意したとのことである。要するに、野党5党は、共産党が一人区での公認候補を撤回する「選挙協力」によって選挙に勝利し、安倍内閣を打倒して、「政権交代」を実現するということである。しかし、これら民主党、共産党などの「野党連合」による「政権交代」には、様々な懸念と危うさがある。
まず、安全保障の面での懸念と危うさがある。2月20日と21日に実施された共同通信社の世論調査によれば、「安保法制を廃止すべき」が38.1%に対し、「廃止すべきでない」が47.0%にのぼっている。多くの日本国民が中国や北朝鮮に脅威を感じている証左であろう。しかも、自衛隊の合憲性や日米安保の是非など、日本の根本的な安全保障政策において、民主党と共産党はその立場が全く異なっている。にもかかわらず、両党が「選挙協力」をして、仮に「政権交代」が実現した場合には、早晩、基本政策の違いが表面化して対立し、日本の安全保障に重大な師匠と危険が生じる恐れがあろう。のみならず、安倍内閣が進めている普天間基地の辺野古移設についても頓挫することは必定であり、日米関係、ひいては日本の安全保障に重大な支障が生じるであろう。
次に、経済政策の面でも懸念と危うさがある。民主党など「野党連合」には、デフレ脱却のための具体的な処方箋や、日本経済を活性化させる思い切った成長戦略がなく、「成長」よりも、子ども手当や農家個別所得保障、高速道路無料化など、財源を無視した「バラマキ」による「分配」を重視する傾向が見られる。そうすると、「アベノミクス」の三本の矢による「円安」「株高」の効果が消滅し、民主党政権時代の元の80円台の「円高」に戻り、株価も元の8000円台まで暴落することにもなりかねないであろう。
このように、民主党、共産党などの「野党連合」による「政権交代」には様々な懸念と危うさがある。国民は、もしも「政権交代」が行われた場合には、日本の安全保障及び日本経済において、どのようなことが起こり得るかについて、今こそ慎重かつ十分に吟味し認識する必要があると言えよう。
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