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2016-03-03 00:00
ロシア経済危機を日露関係の構築に活かせ
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
ここ10年間はロシアは経済的に豊かになりました。その経済の発展を後ろ盾にプーチン大統領は「強いロシア」の再現に努力してきました。かつてのソ連のようにはいかないまでも、プーチン大統領はアメリカの圧力に屈することなく、独自性のある外交をしてきました。実際に石油産業は好調で、モスクワにはベンツが多く見られる状態でした。もちろん、すべての国民が豊かになったわけではなく、貧富の差は大きくなり、社会問題は深刻でしたが、それでも社会にお金は回っていました。ロシアの金持ちがヨーロッパでブランド品を買いあさる姿がありました。資源大国ロシアにとっては、まさに願ってもない展開。ヨーロッパも全体的に好況で、ヨーロッパとのビジネスが占める割合が高いロシアは、経済的に豊かになったのです。米ソ冷戦に敗れた一種の屈辱を強いリーダーのプーチン大統領が癒してくれる展開になっていました。
しかし、中国経済の落ち込みとアメリカでのシェールガスなどによって、状況が一変します。原油価格は暴落し、資源ブームは終わりを告げました。採算われになる状態に陥りました。ヨーロッパは不況になり、ロシア経済には苦境に陥っています。ルーブルも落ち込み、経済は冷えています。インフレが国民生活を苦しめています。それに加えて、「強いロシア」はウクライナ問題なども引き起こします。そして、欧米からの経済制裁。天然資源の価格が高い時には、こうしたことが起きても、耐えられる状態でしたが、今の状態だとかなり苦しくなっています。かろうじて、耐えているという状況。プーチン大統領の強気の姿勢が、かえって問題を複雑にしています。
ロシアは資源ビジネスに頼りすぎたために、他の産業育成がしっかりとできませんでした。例えば自動車産業。ロシアの車といえばラーダが有名ですが、到底世界のブランドとは言えません。1977年に発売されたクロスカントリータイプの「ニーヴァ」は、1980年代から日本にも輸入されていたことがあるようですが、私は日本ではラーダを見たことはありません。世界の2流、3流の自動車というイメージが付いています。原油や鉱物資源以外では、森林産業や漁業が目につくくらいです。あとは軍事産業というところでしょうか。
プーチン大統領は、資源ビジネスをベースに積極的な外交・軍事政策で「強いロシア」を目指してきましたが、その資源ビジネスが揺らぐと、急に各種の社会問題がクローズアップされてきています。プーチン大統領の支持はまだ揺らいではいません。しかしそこまで揺らぐようになれば、ロシアは本当に危機に陥ります。日本にとってはかなりのチャンスが生まれます。弱いルーブルは、外国資本の対ロ進出を容易にします。ロシアは日本が持っていないものを持っており、日本はロシアが持っていないものを持っています。日ロが手を組めば、いろいろな協力が可能になります。これまで両国は、北方領土問題に鑑みて、その関係を抑制しながら構築してきました。私はこの際には、北方領土問題の解決のためにも、「互譲互益」の両国関係構築に路線を転換してはどうか、と思っています。新たな日露関係の構築は、両国にとって当面のプラスになるだけでなく、長期的に新たな歴史を作る可能性があります。その新しい歴史の中で北方領土も解決されることを願います。
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