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2016-02-18 00:00
おもしろくなってきた米大統領選挙
川上 高司
拓殖大学教授
アメリカでかなり徹底的に過激な抗議行動を取ることで有名な反戦団体「コード・ピンク」が、思いもよらない候補を絶賛している。コード・ピンクは、議会の公聴会でもしばしば過激な抗議行動をして妨害し強制退去させられたこともある行動派で、14年間イラク戦争に反対してきた。その彼らがこともあろうか共和党候補のドナルド・トランプに喝采を送った。トランプが、共和党討論会でイラク戦争批判を展開したからである。
13日にCBSニュースで放映された共和党候補による討論会では、ドナルド・トランプはイラク戦争は「間違いではすまない。最悪の大失敗だった」と言い、ジョージ・ブッシュがCIAの情報に耳を貸さず、あるはずもない大量破壊兵器をあると言い張ってアメリカを戦争の泥沼に陥れたと厳しく批判した。トランプによればブッシュ大統領は「うそつき」で「弾劾すべきだった」とさらにエスカレートしていく。そしてイラク戦争につぎ込んだ多額の戦費を国内のインフラ整備に使うべきだったと民主党のような批判を展開した。
そのトランプに対してジェブ・ブッシュは「我が家への批判にはうんざりだ。父や兄は立派な人物だ」と反論したが、もはや説得力はない。ジェブの人気が最悪なのは、国民が兄ブッシュの業績にうんざりしているからに他ならない。トランプの発言は物議を醸すことも多いが、国民の本音を代弁していることも少なくない。だからこそ高い支持を得ているといえる。
超保守と言われるトランプだが、実業家らしく超リアリストが本当の姿かもしれない。なにしろロシアのプーチン大統領が「彼とは話が合いそうだ」と好感を得ているのである。トランプの人気が持続すればするほど、他の共和党候補はより保守的にならざらるを得ない。彼らが偏れば偏るほど民主党に有利になる。トランプの狙いはそこにあるのかもしれない。いよいよ大統領選挙がおもしろくなってきた。
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