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2006-12-27 00:00
アジアで日本のリーダーシップを発揮せよ!
岡本 由美子
同志社大学教授
先日、オーストリアで開催された「ザルツブルグ・セミナー」に参加をする機会を得た。本セミナーは戦争直後に始まって以来、438回目を数える大変歴史の長いセミナーであり、現在では世界各国及び各界の比較的若い世代の人々が参加し、グローバルなイシューについて話し合うというものである。今回の全体テーマは「世界における中国の台頭」であったが、分科会の1つが「アジア地域経済統合・協力」であったので、特に印象に残ったことを何点か、以下にまとめる。
まず第一に、上記分科会では、驚くことなかれ、「アジア」にどの国・地域が含まれるべきかで冒頭、議論が紛糾してしまった。少なくともASEANプラス4(中国、インド、日本、韓国)については異論がないだろうということでようやく合意したものの、改めてアジアで共同体を創出していくことの難しさを感じた。機能的協力の積み重ねによってアジアにおいても制度的・認識的統合が達成されるのではないかと単線的に考えがちであるが、事はそんなに簡単ではなさそうである。
第二に、アジアはアメリカとどのように今後付き合っていくべきか、という課題である。世界経済のグローバル化は、生産、販売のみならず、現在、研究開発分野にも大きな影響を及ぼしているのであるが、アメリカはただ単に、マーケットという観点のみならず、イノベーションという観点からもアジア経済にとって非常に重要な役割を果たしている。したがって、少なくともアジアの地域経済統合においてはアメリカの関与はむしろ望ましい点もあると思われるが、他のアジアの参加者からの賛同は得られなかった。
第三に、中国及びインドの台頭とこれら諸国のアジア、及び、世界における存在感の急速な増大である。そのためか、上記分科会では、21世紀のアジアの主要プレーヤーを中国、インド、日本に絞り、これまでのアジアの統合・協力プロセスで非常に重要な役割を果たしてきたASEANの存在が議論から抜け落ちてしまう場面もあった。
東アジアで共同体を構築していくプロセスの中で、改めて日本の果たすべき役割が非常に大きなものであることを痛感した。アジアとアメリカとの間の関係を良好に保ちつつ、アジア諸国をうまくまとめあげられる国は現段階では日本のみであろうし、また、その役割を果たせないのであれば、アジアのみならず世界における日本の存在感は益々、相対的に低下していくであろう。
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