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2016-01-28 00:00
「米中露三極構造と日本の立ち位置」を読んで思う
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
1月26日付けの姉妹e-論壇「百花斉放」に掲載された松井啓氏の投稿「米中露三極構造と日本の立ち位置」は、最近の激変している国際情勢を見事にまとめておられ感嘆する。松井氏は、もともとロシアの強硬な対外政策には極めて厳しい批判を述べられておられた。しかし、今の時期には、このロシアとも、ある程度は手を組むべきだとされている。
現在の国際情勢を私なりに再整理すると、次のとおりである。(1)米は、かっての勢いはないが、依然世界第一の経済力と軍事力だ。(2)EUの、域内での動きには、細心の注意が必要だ。独のメルケル首相は、難民受け入れなどで、人道主義ドイツを打ち出し、世界の喝さいを浴びたが、「ケルンの夜」で、一夜にしてその支持は急落した。バスク、スコットランドなどの独立の動きを抱える、スペイン、英国の動向も懸念材料だ。(3)中国は、バルブがはじけつつあるといえども、その経済成長と軍備増強での自信は、当分続くとみておいた方がよいかもしれない。一方、政策の責任者たちは、AIIBや「一帯一路」政策など、一見華やかに見えるが、内実は、社会、経済の「構造改革」への踏切に相当悩んでいるように見える。
私が、最近得た情報では、中国は、水面下で「構造改革」へのノウハウを求めて日本へアプローチしてきているとの、驚くべきニュースもある。これらを総合して考えるに、次のポイントは、松井氏の論述に上乗りして、大事だと思う。(1)日本は、アジアで唯一のG7メンバー。本年から国連安保理メンバー。EUで、例えば独のマスコミがアジアの代表格は、中国だとの声が強かったが、中国経済の悪化に伴い、声も小さくなった。(2)ロシアとの関係の緊密化。松井氏は、ロシア語の外交官として、大変な知識をお持ちに見えるが、その同氏が、安倍首相は、プーチン大統領と、頻繁に会うべきだと述べておられる。欧米は、クリミヤ制裁を課した後の妥協点を懸命に探っているようだ。
松井氏は、先進国サミットにはロシアを組み入れた総合的議論が必要だと述べておられる。これは、これから日本が中国と妥協しながら、一部敵対と協力を進めていく過程に進む場合でも、外交で老獪な手練手管が苦手で、ともすれば、直球一本になりがちな国柄から、牽制材料として必須のものと思われる。
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