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2016-01-27 00:00
“政局の人”小沢が動き始めた
杉浦 正章
政治評論家
たまに新聞に名前が出ると「懐かしい」と思われる政治家がいるが、生活の党代表・小沢一郎がその右代表だろう。2009年の総選挙で民主党の地滑り的な圧勝を受け、議員会館の同じ階に当選した“小沢美女軍団”をはべらせ、「今太閤」そのものだった小沢だが、現在は、政党要件ぎりぎりの衆参議員5人の党首にすぎない。その小沢がなにやら息を吹き返して、動きが活発だ。「政局波乱」のにおいを動物本能で感じ取ったのか、元旦からメデイアへの「発信」を増幅させている。甘利疑惑が発生すれば、さすがに“疑惑の通”だけあって、「犯罪を構成するような類いの事実だ」と東京地検の捜査を促すような発言をしたり、まるで水を得た魚のように動きはじめた。ジンクス好きの小沢が狙うのが「9年周期の参院選大波乱・安倍退陣」だ。小沢の最近の目立つ動きは、「共産党シロアリ」論で民主党代表・岡田克也の共産党接近をけん制している元外相・前原誠司との極秘会談だ。メデイアの気が付きにくい1月24日の日曜日を選んで会談した。発生したばかりの「甘利疑惑」が政権を直撃する事態を最大限活用して、野党の結集をはかるのがその戦略だ。会談で、小沢は参院選比例代表を野党の統一候補で戦う「オリーブの木」構想が「必ず実現する」との見通しを述べた。前原は共産党との共闘にアレルギー症状を示しているが、両者は「野党勢力の結集が不可欠」との認識では一致したという。
また小沢は参院選で自公を過半数割れに追い込めば、「安倍は必ず退陣する」との見通しを述べたという。小沢が「安倍退陣」の根拠にしているのが2007年の参院選だ。自民党の獲得議席数は37議席と歴史的大敗を喫し、結党以来初めて他党に参院第1党の座を譲った。小沢を代表とする民主党は、追い風を受け60議席を獲得し、参議院で第1党となり、野党は参議院における安定多数を確保したのだ。これが結局は第1次安倍内閣の退陣に直結して、2009年の総選挙でも自民党の敗北につながり、ついに政権交代のきっかけとなったのだ。09年に限らず自民党にとってツキが落ちるのが、9年周期の参院選だ。その9年前の1998年の参院選はメディアの分析では現状維持か、少し上回る60議席台前半と推測されたが、自民党の獲得議席は44議席と予想を大きく下回る敗北を喫した。首相・橋本龍太郎は敗北の責任を取って退陣した。さらにその9年前の89年も首相・宇野宗佑の女性問題やリクルート事件の余波などがたたって、自民党が惨敗。社会党党首である土井たか子が「マドンナ旋風」と呼ばれるブームをまきおこし、「山が動いた」と述べたほどの逆転劇であった。自民党は36議席しか獲得できず、参議院では結党以来初めての過半数割れとなる。
これ以降現在に至るまで、自民党は参院選で単独過半数を確保できていない。自民党は9年ごとに大敗を喫し、首相が交代してきたのだ。3度あることは4度あるというわけだ。要するに、小沢の狙うのはこのジンクスでもあるのだ。小沢は新年会で「何としても野党の連携、大同団結を果たして、そして、参院選で自公の過半数割れを現実のものとする。すなわち、それは安倍内閣の退陣である。直接、参院選で政権が変わるということはありえないが、安倍さんが退陣せざるをえなくなることだけは間違いのないことだと思う」と断定している。そして自らの野党糾合への動きを「すぐ『野合』だとか『数合わせ』だとか、あるいは『選挙のためだ』とかいうことを言われるわけだが、選挙のためで何が悪い。選挙というのは、主権者たる国民が判断をくだす唯一の機会であり、最終の決定の機会だ」と“正当化”している。
ただ、この小沢戦略にとって、一番の懸念材料は首相・安倍晋三がダブル選挙に踏み切るかどうかということだ。公明党が「700万票の創価学会員の票の動きが複雑化する」として反対しているが、小沢は「創価学会は結局ダブルを受け入れざるを得ない」と漏らしている。その根拠として官房長官・菅義偉と学会幹部の秘密裏の接触を挙げる。事実菅は政権発足以来、創価学会副会長の佐藤浩と急速に関係を深めており、独自に公明党・学会サイドの内情を探っている。小沢はおそらく菅と佐藤の会談でダブル選挙が話し合われているとみている。ダブルとなった場合、共産党まで含めた選挙共闘が極めて困難になり、「安倍一強」が続きかねないというわけだ。こうして政界仕掛け人・小沢は73歳の年齢をものともせずに、あらゆる機会を捉えて「政局大展開」を狙い続けるのだ。
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