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2016-01-21 00:00
いま日本がやるべきこと
山崎 正晴
危機管理コンサルタント
年明け早々、12日にイスタンブールで、14日にはジャカルタで立て続けに爆弾テロが発生、一般市民や外国人が犠牲となった。どちらの事件もISによるものと断定された。これらに先立つ昨年10月3日に、バングラデシュで邦人男性が銃撃を受け死亡した事件でも、ISが犯行声明を出したと報じられている。ISによるテロのアジア拡散が懸念される。現在のところ、IS問題に向けた国際社会の対応は空爆が中心だ。しかし、それが問題の解決につながるとは誰も思っていない。空爆の結果確実に起こることは、大量に発生する一般市民の犠牲と難民の発生、西欧社会への恨みと怒りの連鎖、そしてテロのさらなる拡散だ。国際社会はイラクでの失敗を繰り返そうとしている。
今すべきことは、話し合いを通じて殺し合いを止める努力をすることだ。これまで中東で手を汚していない日本こそ、それを実行出来る立場にある。インターネットを使えば、各国に散らばるメンバーや賛同者達に直接語りかけることもできる。様々な不条理への怒りや、宗教的確信で凝り固まった心を開かせることは容易ではないだろう。しかし、何度失敗しても繰り返す価値のある努力だと思う。目を中国に向けてみよう。昨年、日本はアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を見送った。その背景には、明らかな米国への気遣いに加えて、中国が国際社会で指導的立場に立つのを喜ばない偏狭な国民感情があったことも否めない。G7の中で真っ先にAIIBへの支持を表明した英国の態度はとても分かりやすい。今後中国が国際社会でますます重要な立場に立つことを見越して、名を捨てて実を取る道を選んだのだ。日本と異なり、位置的に遠く離れた中国に軍事的脅威を感じていないため、国民のコンセンサスが得やすかったこともあるだろう。
AIIBに関連して、もうひとつ注目すべき国はフィリピンだ。フィリピンは南シナ海の領有権問題で中国と争っており、昨年10月末、国連海洋法条約に基づき常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に提訴した。そんな中、フィリピンはAIIBに参加表明はしてはいたが調印は見送っていた。しかし、期限ぎりぎりの12月31日になってついに調印に踏み切った。国際政治の現実を踏まえた苦渋の決断だったのだろう。IS問題、南シナ海問題、ウクライナ問題、北朝鮮の核問題、これらのいずれにおいても、米国には、泥を被ってでも解決しようという姿勢は見られない。その一方で、中国は西欧が作った既存の秩序に挑戦し、ロシアは自国権益を守るためには、躊躇なく軍事行動を起こしている。シリアやイラクを含む中東・アフリカのいわゆる脆弱国では、「ならず者集団」が多くの人々を不幸に陥れている。このような中で、国際社会のバイプレーヤーとして、日本はどうあるべきかを考えてみた。
まず第1に、「既存の紛争は早期に解決し、新たな敵は作らない」。この意味で、韓国との慰安婦問題での和解はとてもよかった。南シナ海問題には介入しない。尖閣問題は早期に棚上げする。AIIBに加入して中国に協力する、などは基本だろう。ロシアとの北方領土問題は痛み分けで決着し、早期に平和条約を締結する。北朝鮮とは国交を樹立する。第2に、「他国での戦争や紛争への武力介入は行わず、平和解決に向けて積極的に行動する」。第3は、「若者の国際交流を促進する」。世界と草の根レベルでつながるために、留学生を沢山受け入れ、日本からも多く出す。シリア難民の子供を養子として引き取るのもいいだろう。第4は、国も企業も個人も防衛に力を入れ、外敵が付け入るスキを作らない。総合コンセプトは。宗教的に寛容な日本の特性を生かし、世界中の誰の脅威にもならず、皆から愛されるけど甘く見られない、技術面でも文化面でも、なくてはならない存在になる。こんな国になれたらいいなと思う。皆さんは日本に何を望みますか。
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