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2016-01-13 00:00
(連載1)2016年世界経済の焦点はやはり中国
田村 秀男
ジャーナリスト
2016年の世界経済最大の焦点は、中国の企業債務問題のようである。15年は中国の生産過剰が世界のモノの市場を揺さぶった。今度はカネ版チャイナリスクである。株式を含む世界の市場が中国製債務爆弾に脅かされるのか。主要国・地域の企業債務残高の推移を見ると、国内総生産(GDP)で米国の約6割の中国が米国をはるかにしのぐ。党支配の異形市場経済がつくり出した金融バブルである。
中国人民銀行は08年9月のリーマンショック後、党中央の指令を受けて国有商業銀行を通じて国有企業などに巨額の融資を行ってきた。可能にしたのは米連邦準備制度理事会(FRB)による量と金利両面での史上空前絶後の超金融緩和政策である。海外にあふれ出たドル資金の多くが中国に向かい、人民銀行はそれを吸い上げて人民元に置き換えた。地方政府は不動産開発に熱中し、国内需要を盛り上げる。企業は借り入れては生産設備や不動産に投資し、供給能力を肥大化させてきた。
ところが13年から14年にかけて不動産バブルがはじけ、景気は失速した。中国需要減退の影響で国際商品市況は総崩れとなってきた。モノ版チャイナリスクである。米FRBは14年10月末に量的緩和を打ち止め、FRBは金融政策の正常化に踏み出した。近い将来のゼロ金利解除予想が市場に広がり、余剰ドル流入に支えられた新興国市場が調整局面に入った。FRBは15年12月に続き、小幅で緩やかながら利上げを継続していく考えのようで、16年にドル資金のUターンの流れはさらに強まるだろう。
中国と米国を除けば世界の企業債務の縮小が続いている。通常、景気の後退局面で需要が低迷する場合、企業は債務の圧縮に努める。日欧のパターンがそうだ。新興国の場合、米利上げ予想と中国需要減退による打撃が重なったために、債務縮小は早く始まった。(つづく)
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