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2015-12-14 00:00
国際法の守護者としてのアメリカと支離滅裂な中国
倉西 雅子
政治学者
アメリカのイージス駆逐艦ラッセンが、中国が人工島に一方的に設定した「領海12カイリ」を航行したと報じられました。国際法上、人工島には領海を設定することはできませんので、アメリカは、敢えてこの海域で航行の自由を実行して見せることで、中国の領海ではないことを示したのです。
このアメリカの「航行の自由作戦」に対しては、予想された通り、中国は、「強烈な不満」を表明しました。しかしながら、中国の反論は、支離滅裂としか言いようがありません。何故ならば、自らの人工島建設については、「航行・飛行の自由に影響を及ぼさない」と主張する一方で、実際に、アメリカが航行の自由を実行すると、「航行の自由を名目に中国の主権と安全を損なうことには断固反対する」と批判しているからです。航行の自由を認めた前言と、航行の自由を中国の主権を損なう行為と見なした後者との間には、明らかに矛盾があるのです。
領海とは主権が及ぶ範囲ですので、中国は、人工島に領海を設定した時点で、航行の自由に対する制限を宣言したようなものです。にも拘らず、中国は、人工島の建設と領海の設定に対する国際社会からの批判をかわすために、航行の自由は保障されていると「嘘」を吐いたのであり、この「嘘」が、矛盾に満ちた苦し紛れの言い訳として現れているのです。
中国は、国際社会の一員、かつ、国連の加盟国として、国際法を誠実に順守する義務を負います。そして、中国による違法な領海の設定は、国際社会において、決して認められることはありません。南シナ海問題については、国連が沈黙する中、国際社会の法秩序の守護者として、行動で中国の違法行為を阻止しようとしたアメリカに正義があるのではないかと思うのです。
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