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2015-12-11 00:00
中国経済を占うロンドンでの「人民元建て公債」
倉西 雅子
政治学者
急速に経済関係を強めているイギリスと中国。金融面でも、中国は、国外としては初めてロンドンで50億元(950億円)相当の人民元建ての中央銀行手形を発行すると共に、将来的には国債の起債をも予定しているそうです。相次ぐ人民元建て公債”の発行の狙いは、人民元の国際通貨化の促進であり、IMFのSDR構成通貨入りに向けた戦略的一環と説明されています。しかしながら、「元建公債」は、金融機関、並びに、債券市場において引く手あまた、あるいは、人気商品となるのでしょうか。
実のところ、表面利率は3.1%であり、日本国債と比較しますと利率は大きく上回ります。中国国債の格付けも日本国債より凡そ高評価を得ていますが、中国経済が曲がり角にあることを考慮しますと、元相場下落のリスクは否定できません。上海株式市場での株価暴落に際しては、下落防止を目的とした大規模な量的緩和策が既に実施されていますし、昨今の報道によりますと、中国人民銀行は、公開オペ以外の手段による資金供給も行っているそうです。
しかも、輸出入とも中国の貿易額は減少しているとの情報もあり、貿易決済通貨としての元需要も縮小傾向にあるようです。中国当局が、7月から9月にかけて23兆円にも上る大規模な人民元買い支えの介入を実施したのも、こうした一連の人民元下落傾向の現れでもあります。その一方で、元相場維持のために今後とも政府が市場介入を継続するとしますと、外貨準備の減少を招くと共に、国際通貨化の道も遠きます。
以上の諸点からしますと、為替市場における元安傾向に歯止めがかかるとも思えず、「人民元建て公債」は、利回りにおいて損失を被る可能性が高いのではないでしょうか。国際的な金融センターであるロンドンでの「人民元建て公債」の売れ行き、あるいは、買い手の素性は、中国経済の将来をも占うことになるのではないかと思うのです。
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