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2015-12-05 00:00
中国の「ダブル緩和」は逆効果か?
倉西 雅子
政治学者
中国の中央銀行である中国人民銀行は、国内のデフレと資金の国外逃避に歯止めをかけるために、「ダブル緩和」を実施したと報じられております。貸出金利の追加利下げに次いで、預金準備率も引き下げたというのです。この点について思い起こされるのは、米国FRBの利上げ時期をめぐる議論です。
先日、FRBは低金利政策の転換時期ではないとして、利上げを見送っております。その際、指摘されていた理由の一つが中国の景気減速であり、「このタイミングでFRBが利上げを実施すれば、中国からの米国市場への資金還流が加速され、中国経済に致命的な打撃を与える」というものでした。つまり、中国経済の救済のために、米国は、自国の利上げを控えたことになります(中国の実態が、巨大な債務国であるとすると、破綻も懸念される…)。
この説が正しいとしますと、中国の利上げは、まさに、FRBの利上げ見送り効果を台無しにするような政策です。アメリカの金融市場との間で、資金流出要因となる金利差を自ら広げたのですから(欧州市場との間では、ECBの金融緩和で相殺されると考えているかもしれない…)。あるいは、貸出金利の利上げで資金流出を招いたため、慌てて流出効果が比較的弱い預金準備率下げに転じたのでしょうか。
中国経済は政府部門も民間部門も弱含みであり、短期的には投機的な株価の上昇は見られるかもしれませんが、中国人民銀行の緩和策による長期的な国内経済押し上げ効果は未知数です。果たして、この「ダブル緩和」、期待通りの効果を発揮するのでしょうか。少なくとも、資金の国外逃避予防策としては、逆効果もあり得ます。政策が裏目に出た場合、中国経済は、さらに混迷を深めることになるのではないかと思うのです。
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