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2015-12-04 00:00
(連載2)内部留保課税の議論と法人税引き下げ
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
しかし、率直なところ、客観的に見て、そして多くの外部の方々の意見を踏まえても、データを踏まえても、日本の企業の動向は不自然なほど適切なリスクテイクや投資を出来ているとは言えない状況です。そしてそれなくしては、これまでの金融緩和も財政の刺激策もこれまで賭けてきた大きなコストが無意味な一時しのぎだったということになってしまいかねません。この国の国民の暮らしに責任を持つ政治家としては、こうした状況を座視するわけには行かないわけで、やむを得ず、異例のことではありますが、官民対話を行い、それでも企業の行動が変化しない場合には税にインセンティブ・ディスインセンティブを組み込むということも今後は考えていかざるを得ない、これが今の状況です。
ここだけ考えると、もしかすると法人税減税は不要だ、さらに深堀しても意味が無いではないかという議論になってしまうかもしれません。しかし考えねばならないのは、きちんとしたリスクをとっている企業も一部にはあるわけで、グローバルな競争にさらされるそのような企業を支援するために日本として更なる法人税減税は必要ということです。政府が細かいことに口を出す従来の政策減税ではなく、そのようなイノベーティブな企業には一般的な法人税減税による自由な資金が必要です。そこの足を引っ張るわけには行きません。
であるとすれば、経済を下押ししないために、そして真に民間主導の経済成長を実現するためには、更なる法人税減税と不適切な内部留保への課税の組み合わせを推し進めていくことを現実的に考えねばならない時期に来ている、それが正直な感想です。党内では自由競争主義者の方に数えられる私ですらそう思わざるを得ないという現状は危機的と思わざるを得ません。実は海外の市場関係者の多くも同様の見方をしています。もちろん、具体的な制度の検討に当たっては影響を最小に抑え効果を最大にせねばなりません。課税対象の規模、産業別にどうするか、何に課税するのか、水準はどうするのか、どう法人税減税にビルトインするのか等々、細部の設計がまさに肝になります。その詳細な制度設計次第で成長を加速させるいい税制にも成長を鈍化させてしまう悪い税制にもなりうる。
内部留保課税という言葉に過剰反応して議論が止まってしまうことが一番非生産的なわけであって、まず必要なことは、何が可能なのか、制度的・政策的なツメを行うことです。その上で導入する必要があるか否かを、各企業の設備投資や賃金、配当の動向を勘案して一年なり時間をかけて判断するというのが今の政治がとるべき正しい姿勢なのではないか、私はそう考えています。ともすれば忘れがちなことですが、そもそも経済、景気の問題において政府が出来ることは限られています。日本経済が真に力強く成長できるか否かは、一つ一つの企業、一人ひとりの人のチャレンジ・行動にかかっているといっていい。3本の矢はそのための環境整備の意味合いが強い。その意味でも、まさに今が正念場です。誤り、失敗は許されません。(おわり)
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