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2015-11-11 00:00
(連載1)GDP600兆円は2、3年で達成できる
田村 秀男
ジャーナリスト
安倍晋三首相が掲げる「名目国内総生産(GDP)600兆円」は日本再生のための必達目標のはずだが、議論は迷走している。2017年4月に一部食料品に軽減税率を導入しようと、消費税増税は内需を抑えることに変わりはない。他方で、官邸は法人税実効税率引き下げに執念を燃やしているが、肝心の国内向け設備投資や賃上げにつなげるプログラムは不在である。
1997年度の消費税増税は慢性デフレを引き起こし、2014年度増税はアベノミクス効果を台無しにした。増税ショックで14年度のGDP実質成長率はマイナス0.9%に落ち込んだばかりか、15年度も4~6月期マイナス0.3%、さらに7~9月期も0%前後の水準に停滞する見通しが強い。米財務省は、10月19日付の外国為替に関する議会報告書の中で、消費税増税による日本の景気減速を取り上げ、財政緊縮にこだわるとデフレに舞い戻るのではないかと警告した。半年前の議会報告書に続き、2度目だから、よほど気掛かりなのだろう。
自動車業界などの利害を反映する米議員の多くは、日本がデフレ不況の重圧を和らげるために、円安による輸出てこ入れに頼るのではないか、と警戒している。しかし、日本の方はデフレの国内では使われずに残る巨額の貯蓄を米金融市場に流しているので、日本のデフレはニューヨーク・ウォール街にとってみれば、むしろ歓迎だ。国際金融界の総本山、国際通貨基金(IMF)も日本の増税デフレを気にせず、消費税増税して財政再建を急げと毎年、対日勧告している。
財務官僚やIMFなど国際金融界による増税デフレ包囲網の突破は、政治リーダーの責任である。安倍首相によるGDP600兆円の宣言はその点、大いに評価できる。ところが、その達成プログラム「1億総活躍社会」は文学的過ぎ、合理的な経済政策とは言い難い。そのあいまいさは、600兆円実現の道筋を見えなくしてしまう。有権者受けを狙っただけで、国全体の経済を考慮しない与党の消費税軽減税率論議は、17年4月に予定通りの消費税増税を安倍首相に実行させたい財務官僚の思うつぼだ。(つづく)
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