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2015-11-06 00:00
民泊という新たなモデル
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
最近、民泊という言葉をしばしば耳にするようになりました。これは簡単に言えば、一定の条件の下で空いている部屋を宿泊用に提供できるようにするという規制緩和です。私も国土交通大臣政務官のときに、観光庁も所管ということで、「観光立国に向けたアクションプログラム2015」の中に民泊を明確に位置づけるように、慎重姿勢を崩さない厚生労働省を相手に力を尽くした案件であったことを記憶しています。そこで、そもそもなぜこれが必要なのかという点です。例えばある都市の宿泊の需要ですが、観光客にしてもビジネス客にしても季節ごとの上下、あるいはオリンピックパラリンピックのようなビッグイベントを考えれば、年による上下も含めて需要の変動は避けられません。
仮にそのピークの需要にあった供給をホテルや旅館で賄うとすれば、需要が落ちた時期には空室としてコストを抱え込むことになる、つまり需要が落ちた分のマイナスを丸々こうしたホテルや旅館が背負い込むことになります。結果的に経営が苦しくなったり、他の宿泊客の料金にその分が乗せられ料金が高くなったりということも起こりうるわけです。であるとすれば、その変動のある程度の部分は、普通のマンションなどの空いている部屋を活用することで、補うことが一つの解決策にもなるのではないかというのがこの「民泊」を進める基本的なアイデアです。
もちろん、推し進めるという前提の上で、衛生面や治安面など問題が起こらないような対策を徹底することは必要です。しかし、今後急速にインバウンド(日本への訪問者)が増えることが見込まれ、また季節ごとの変動も実数としては増加していくことが予想される中にあっては、宿泊者にとってもホテル業界にとっても民泊の提供者にしてもWin-Winの状況をつくるという観点からも、このような純粋のプロフェッショナルではない主体の参入は避けられないものであり、基本的には歓迎するべきものと思われます。
一般にシェアリングとも言われるようなこうした手法は、車などでも今後検討されることになると思われますし、また一時的な需要の増加に対応するという観点においては、保育園の運営への会社組織の参入をはじめ様々な分野で、従来の規制の見直しが必要になってくることが予想されます。その際には、推し進める前提で問題が起こらないように厳しく対策を行っていくというのが基本的な姿勢でなくてはならず、問題点を指摘するだけで改革をしない理屈とすることはあってはなりません。今後とも様々な分野において様々な可能性を検証していきたいと思います。
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