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2015-11-03 00:00
(連載2)増税デフレの愚を繰り返すな
田村 秀男
ジャーナリスト
日本の対米協調路線はデフレを容認する財政・金融政策で支えられてきた。9年度消費税増税が引き起こした内需減退で貯蓄は国内で投資されず、米国を中心とするグローバル金融市場に向かう。国内経済は慢性デフレとなり、余剰資金はますます海外に出る。世界最大の債権国日本と世界最大の債務国米国という組み合わせは同盟関係にふさわしいように見えるが、実は資産国が貧しくなり、債務国が豊かになるという、倒錯コンビだ。
24年末に発足した第2次安倍政権は、金融の異次元緩和を柱とするアベノミクスを打ち出し、脱デフレを目指してきた。24年末と27年6月末を比較すると、日銀は円資金発行量を181兆円増やし、円安・株高を演出した。企業と金融機関は収益を順調に拡大したが、内部留保となる利益剰余金は80兆円増えた。さらに目覚ましいのは対外資産の増加250兆円である。利益剰余金と対外資産は24年末までの3年間でそれぞれ14兆円、90兆円増加したのだが、アベノミクスによってその増勢が加速したわけで、余剰資金を米国など海外に回すという従来モデルが一層強化されている。
消費税増税の衝撃で経済成長率がマイナスに落ち込んだ26年度、さらに今年前半のデフレ圧力の再燃は、民間資金の対外流出を促進する要因だろう。翻って、安倍首相が掲げた名目GDP600兆円の達成は、カネの流れさえ変えれば数年のうちにでも可能とも読み取れる。アベノミクスは資金面で十分すぎるほどの余剰を生んだ。しかし、増税と緊縮財政という最悪の政策をとったために、成果を押しつぶしてしまった。
対外投資増加分のうち100兆円が国内投資に回れば、投資額をはるかに上回るGDPの拡大が見込まれる。あるいは、内部留保の増加分がまるまる国内の賃上げや設備投資に回れば同様だ。民間は内需が冷えると見込む限り、国内雇用や投資には踏み込まない。予定通りの消費税率引き上げに踏み切るなら、全品目を軽減税率とし、GDP600兆円を達成してから軽減対象品目を見直せばよい。内部留保に課税して、勤労者世代に回せばよい。要は実行プログラムだ。(おわり)
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