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2006-12-13 00:00
「開かれた」地域共同体構想とアメリカ
舛島 貞
大学助教授
12月1日付け寺田貴氏の投稿「『東アジア』FTAと『アジア太平洋』FTA」を興味深く読んだ。APECを利用したFTAAPの提案をどのように捉えるかという点について、ブリリアントなコメントをした一文であった。ここで提案されている、「日本など東アジア域内FTAを推進したい国にとって重要なのは、この東アジアFTAの動きから外された米国を今後どのように扱うかという問題」は確かに重要で、日米FTAの可能性を模索せよという提案も、あながち夢物語というところでもなかろう。寺田氏も指摘するように、FTAAPの形成については、台湾の問題が重要だ。台湾はAPECには加盟しているので、APECにおけるFTA構想には当然台湾も含まれてくる。これは中国にとっては認められることではないし、クリントン政権下における3つのNOにも関わる問題となろう。
しかし、今回提起された問題は、東アジア共同体構想をアメリカが座視しているわけではなく、その構想が述べる「開かれた」地域主義なるものを試しているものだともいえる。欧州における地域統合は、アメリカの利権を排除したわけではなく、安全保障面でのNATOの拡大をともないながら進行した。欧州統合研究では、アメリカこそがその統合を助長したと言われる所以である。元来、東アジアや太平洋地域の経済や安全保障に強い影響力をもったアメリカが、次第にその影響力を下げている中で、アメリカの東アジアにおける影響力をどのようなかたちで担保するのか、アメリカともども調整していかなければならないのである。民主党が中間選挙で勝利する中で、今後の見通しはまだつかない。また、6カ国協議などでは、強硬な路線を転換し、テーブルに着くことを優先しているようでもある。
東アジア共同体構想は安全保障面での統合を含むものではない。しかし、地域ガバナンスの形成と安全保障は無関係ではない。また広義の安全保障から見れば、東アジアがアメリカを排除するかたちで地域統合をおこなうことも難しかろう。アセアン+アメリカ、あるいは東アジア首脳会議の構成国とアメリカとの2国間関係をいかに共同体構想にからめていくか、「開かれた」共同体構想の真価が問われていくことになろう。
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