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2015-10-16 00:00
劉雲山常務委員の北朝鮮訪問が意味するもの
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
東アジアの国際政治の中で最も注目すべきことの一つが、中国と北朝鮮の関係が本当のところ、一体どうなっているのかという点です。日本、アメリカ、韓国にとっては極めてクリティカルなポイントです。これまでも、中国は北朝鮮に影響を与えられていないとか、北朝鮮との関係を弱めようとしているなどの「発信」が中国側からしばしばなされてきました。
しかし、(1)中朝友好協力相互援助条約が、第三国からどちらかの国への攻撃があった場合には共同して闘わねばならない旨定めている条項も含めて2001年に更新されており、その後も様々な核・ミサイル実験などの挑発行為などにも関わらず見直しの話が出ていないこと、(2)現在も北朝鮮の生命線とも言うべき原油については中国からの供給が続いており、その明確な減少が見られないこと、などから判断すれば、中国は北朝鮮の地政学的な戦略的価値を極めて重視しており、事実上中国共産党の体制が変わらない限りその意義が変わることはない、というのが正確なところではないかと思われます。
そんな中、専門家が注目していたのが、北朝鮮の創建70周年にあわせて可能性が指摘されていたミサイル実験等の行動を北朝鮮が行うのか否かです。特に軍部との関係や長老との関係、腐敗問題や爆発・暴動など、内政的に習近平体制が安定していない状況、かつ経済的にも不安定さが増しているこの状況下で、北朝鮮がどのような行動に出るのかは大きく注目されていました。結果として、このタイミングでの挑発行為はなく、しかも中国は金正恩体制になってから最も高いランクの首脳であるチャイナセブンの一人、劉雲山常務委員を北朝鮮に派遣したところです。この事実は、様々なことを示唆していると考えられます。
ここから判断できることは、北朝鮮は中国にとって依然として最重要な戦略的同盟国であるということ、そして、様々な可能性を考えつつも、金正恩主席を当面は北朝鮮のリーダーとして認めある程度バックアップする、という判断を中国がしたとみるのが妥当だろうということです。もちろん劉雲山氏の習近平主席との関係なども含め幅を持ってみることは重要だとは思われますが。そして、おそらく今回の一連の流れを見て、韓国は日本、アメリカ、中国との関係を多少見直してくる可能性が高いと思われます。今後、日本にとって死活的な重要性を持つ東アジアの国際政治は水面下で非常にダイナミックに動きかねず、日本外交にとっても非常に大事な時期を迎えるといってよさそうです。
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