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2015-09-18 00:00
(連載2)中国のニューノーマルの金融混迷
坂本 正弘
日本国際フォーラム上席研究員
中国の国家目標は軍事力、経済力、外交力からなる総合国力を高めることだが、経済力増強を基礎に据えたのは鄧小平であり、高度成長で軍事力も外交力も充実した。2008年世界金融危機は中国を世界2のGDP大国、世界1の国際貿易国としたが、4兆ドルの外貨準備に象徴される投資、援助力を中核に、外交力を飛躍的に高めた。国連常任理事国の地位を利用し、無頼国家を始め、アフリカ、南米への影響力を高めたが、中露接近、海陸のシルクロード構想を背景とする、AIIBの成立は中国外交の劇的勝利である。
しかし、新常態での混迷は何を齎すかである。軍事力の近代化は続こうが、成長急減速の結果の輸入減少は、特に資源国経済を直撃し、中国の影響力に罅が入っている。David Shambaughジョージ・ワシントン大教授は、最近のForeign Affairesで、中国はソフトパワーを高めようとして、派手な資金外交を行っている。AIIB、BRICS銀行、海陸シルクロード構想、アフリカ、中南米などへの援助は1兆4千億ドルの約束がある。また、毎年100億ドルの文化宣伝費を使い、孔子学院が典型だが、大学、シンクタンク、国際会議など、大規模な資金ばらまきを行なっているが、ソフトパワーは金で買えないと判断する。しかし、中国の資金流出が続き、外貨準備も減るとすればこのような派手な外交はどうなるのかである。
中国「新常態」の日中関係への影響はどうかだが、まず、共産党独裁ながら、高度成長で日本を抜き、米国に迫る中国はまばゆい挑戦、脅威だが、機会だった。典型は、多くの日本企業が、広大な市場の餌に、先端技術を提供し、地方政府との付き合いに苦闘しながら、の進出だった。上海株への東証の過剰反応は続いているが、今回の混迷は、中国の将来展望の大きな割引である。日本企業の中国離れはすでに進んでいるが、今後加速しよう。
第2に、中国の3戦―法律戦、心理戦、国際与論戦―は、ばらまき外交の支えがあったが、外貨準備や輸入が減れば、派手な外交への制約が大きくなる。逆に、安倍首相の積極的二国、国際会議外交は注目だが、日本援助への見直し機運、観光日本の人気は上昇である。第3に、しかし、安全保障は依然要注意である。昨年の安倍・習会談以来の雪解けムードはあるが、中国の軍事増強は加速し、東シナ海、南シナ海の緊張は緩和の兆候はない。改めて、国防力の強化とともに、平和安保関連法の成立、日米防衛ガイドライン強化により、関係国と協力し、抑止力を高め、紛争の予防、回避の体制整備が急務なことを強調する。(おわり)
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