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2006-12-11 00:00
第4回 東アジア・コングレスに参加して
山下 英次
大阪市立大学大学院教授
12月3日から5日までクアラルンプールで開催された第4回東アジア・コングレス『東アジア共同体の建設―戦略的課題と不可欠な要素』の第5セッション「東アジアのアイデンティティー」に、スピーカーとして招かれ参加してきたので、その会議の報告と感想についてまとめておきたい。
まず、東アジア共同体の推進母体についてであるが、日本人の出席者(合計7名でうち5名が東アジア共同体評議会の有識者議員)の中には、16カ国の東アジア・サミットをベースとすべしとの意見もごく一部にはあったが、その他はすべて「ASEAN+3」の13カ国をベースとすべしとの考えで概ね意見が一致した。私としては、これは当然の結果である。
オープニング・セッションにおいては、マレーシアのアブドゥーラ首相が基調講演を行い、その後われわれは同首相を囲んで20名ぐらいで懇談する機会も得たが、同首相も、当然のことながら「ASEAN+3」を推進母体とすべしとの考えを極めて明確にしていた。アジア地域統合推進の観点からは、これは極めて正しい判断とみるべきである。
私の方からは、ヨーロッパに比べ、アジアのアイデンティティーを疑問視する向きが多いが、アジアのわれわれは欧州の多様性を過小に評価しており、歴史的、文化的、経済的に、中国、インド、日本の影響を受けた地域がアジアのアイデンティティーであることを主張した。その上で、(1)日本政府がアジア地域統合に多大なる貢献を果たした人物を顕彰する「岡倉天心アジア大賞」を創設すること、(2)アジアのアイデンティティーと価値観を普及させるためにアジアを代表する国際的なメディアを立ち上げる必要があること、の2点を提案した。
今回のシンポジウムには、米国、欧州、中東、アフリカなど各地から来ている外交官が多数聴衆として参加していたが、とりわけロシアからの出席者が多いのが目立った。私も、ノーボスチ通信のインタビューを受けたが、ロシアが東アジア共同体に並々ならぬ関心を抱いていることが窺われた。
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